2011年9月30日金曜日

【過去問】H22-1 音読み16-20

今日で9月も終わり。気温が急に下がる予想が出ています。体調管理に気をつけましょう。
さて、今日の勉強です。

【勖勉】して経書に精通する。⇒【キョクベン】=つとめはげむこと。勤勉。
「勖」の読みは、「キョク、つと‐める」。他の熟語は、
【勖相】(キョクショウ) はげまして助ける。努めて治める。

【棣鄂】の情を全うする。⇒【テイガク】
【棣鄂之情】 〈故事〉兄弟が仲よくすること。▽「棣鄂」は、にわうめの花。〔詩経〕
「棣」の読みは、「テイ、タイ」。意味は、
①にわうめ。「棠棣(トウテイ)」「郁李(イクリ)」とも。
②車台の下の木。
③「棣棣(タイタイ)」とは、順序正しく並んで、乱れないさま。礼儀になれているさま。「威儀棣棣=威儀ハ棣棣タリ」〔詩経〕
④「棣棠(テイトウ)」とは、山野に自生する落葉低木の名。やまぶき。

【東瀛】茫々として辺際を知らず。
⇒【トウエイ】=①東の方の海。東海。▽「瀛」は、大海。②日本のこと。
「瀛」の読みは、「エイ、うみ」。意味は、漢字源から。
①ゆったりとした海。「瀛寰(エイカン)
②「瀛洲(エイシュウ)」とは、中国の伝説にある三神山の一つ。東海(渤海(ボッカイ))にあって仙人が住んでいると伝えられる。「海中有三神山、名曰蓬莱、方丈、瀛洲、僊人居之=海中ニ三神山有リ、名ヅケテ蓬莱、方丈、瀛洲ト曰フ、僊人ココニ居ス」〔史記〕
他の熟語は、
【瀛海】(エイカイ) 大海。大洋。
【瀛寰】(エイカン) 海と陸の総称。世界。▽「寰」は、寰宇で、天下のこと。
【蓬瀛】(ホウエイ) 東方の海にあり仙人が住むという、蓬莱(ホウライ)・瀛州(エイシュウ)の二つの山。方丈とともに三神山とする。

・山路【葩卉】繁く野田風日好し。
⇒【ハキ】=美しいはなが咲く草。草ばな。花卉(カキ)
「葩」の読みは、「ハ、はな」。他の熟語は、
【葩経】(ハケイ) 「詩経」の別名。▽韓愈(カンユ)の「進学解」の「詩正而葩=詩ハ正ニシテ葩ナリ」による。
【紅葩】(コウハ) あかい花びら。あかい花のこと。

「卉」の読みは、「キ、くさ」。熟語は、
【卉衣】(キイ) 草の繊維で織った衣服。蛮人の衣服。『卉服(キフク)・卉裳(キショウ)
【花卉】(カキ) 花の咲く草。また、草花。『花草(カソウ)
【珍卉】(チンキ) 珍しい草。『珍草(チンソウ)

【妖は天の天子諸侯を戒むる所以なり。
⇒【ヨウゲツ】=わざわいのきざし。また、わざわい。
出題文の出典はわからないが、中庸第24章には「国家将(まさ)に亡びんとすれば、必ず妖孼あり」として使われている。
「孼」の読みは、「ゲツ、わざわ‐い」。意味は、「①わきばら。めかけの生んだ子。②わざわい。悪い。つみ。」他の熟語は、
【孼臣】(ゲッシン) わるい家来。
【孼遺】(ゲツイ) わすれがたみ。
【孼孼】(ゲツゲツ) さかんに飾るさま。いまにも崩れそうなさま。

今日はここまで。ご苦労様でした。やっぱり、1級漢字の世界は広く深いですねえ。

2011年9月29日木曜日

「伊尹負鼎」(いいんふてい)

前回の投稿について「伊尹負鼎」(いいんふてい)の四字熟語があるというコメントをいただきました。
1級四字熟語ですね。関心をもったので今日はこれについて。

意味は、漢検辞典では、
「大望のために身を落とすたとえ」となっています。
出典は蒙求(もうぎゅう)※の281句で、史記の故事を取り上げたものです。

※もうぎゅう【蒙求】
(周易蒙卦「童蒙我に求む」による) 児童・初学者用教科書。唐の李瀚撰。3巻。中国古代から南北朝までの有名な人物の、類似する言行二つずつを配して4字句の韻語で記し、経・史・子類中の故実を知るのに便にした書。計596句。「孫康映雪、車胤聚蛍」の類。唐~元代、広く使われ、日本でも古くより流布。(広辞苑)
難しい説明だが、要するに昔の子供用の教科書で、有名人物のことが600くらい書いてある書物と考えればいいかな・・・と。この蒙求は読んだことはないが、内容を見ると大変面白そうです。今後の読書範囲に入れておこう。

さて、史記の殷本紀第三には、次のようにあります。
「伊尹、阿衡(あこう)と名づく。阿衡、湯(とう)に干(もと)めんと欲すれども由(よし)無し。乃(すなわ)ち有莘氏(ゆうしんし)の媵臣(ようしん)と為り、鼎俎(ていそ)を負い、滋味を以て湯に説き、王道を致せり。」
(訳)伊尹は阿衡と名づけられた。阿衡は湯に仕えようと欲したが、つてがなかった。そこで、有莘氏の娘の嫁入りの時の付き人たる媵臣※になって、鼎(かなえ)や俎(まないた)を背負ってついて行き、うまい料理をつくって湯にとり入り、ついに湯に説いて王道をなしとげたという。
※媵臣=嫁にいく女の付き人としての臣。 「媵」は第4水準漢字で1級対象外漢字になろう。

この伊尹については、「殷初の名相。名は摯(し)。湯王をたすけ、夏の桀王(けつおう)を滅ぼして天下を平定したので、湯王はこれを尊んで阿衡(あこう)と称した。」というのが広辞苑の説明。
料理人から宰相まで登りつめた賢人というのが大方の理解となっている。
今度、伊尹の生涯を描いた の「天空の舟」を読んでみたいと思う。

2011年9月26日月曜日

【過去問】H22-1 音読み11-15

さて今日も勉強!頑張ろう!

【岑岑】たる頭に氷嚢をあてる。
⇒【シンシン】=頭の痛むさま。
「岑」の読みは、「シン、ギン、みね」。他の熟語は、
【岑楼】(シンロウ )高くそびえている山。

・久しく各地に【令尹】を務めた。
⇒【レイイン】=①春秋・戦国時代、楚()の最上位の官名。宰相のこと。②明(ミン)・清(シン)代、地方長官の別名。
「尹」の読みは、「イン」。意味は、「①おさめる。ただす。②おさ。長官。」他の熟語は、
【尹祭】(インサイ ) 祖先の霊廟(レイビョウ)をまつるときにそなえるほし肉。
【伊尹】(イイン) 〈人名〉殷の知恵者。湯(トウ)王を助けて世の中を調和しておさめた。伝説では代表的な上古の賢人とされる。
【関尹】(カンイン ) 関所を守る役人。また、そのかしら。関もり。『関令(カンレイ)

・無数の【頭顱】の先に凱旋将軍を見た。
⇒【トウロ】=頭蓋骨。特に、風雨にさらされて肉が落ちた頭蓋骨。されこうべ。
「顱」の読みは、「ロ」。意味は、「あたま。こうべ。かしら。また、頭の上部。」

・凡そ【誠愨】ならざる者は無かった。
⇒【セイカク】=きまじめでかたいこと。「愨」の読みは、「カク、つつし‐む、まこと」。他の熟語は、
【愨実】(カクジツ ) きまじめなこと。
【愿愨】(ゲンカク ) きまじめで、誠実なさま。
【端愨】(タンカク ) きちんとしてまじめであること。『端誠(タンセイ)

・人世の緊縛を【斫断】する。
⇒【シャクダン】=たち切る。切断。「斫」の読みは、「シャク、き‐る」。他の熟語は、
【斫傷】(シャクショウ) 刃物で傷つける。
【斫木】(シャクボク) 切った木。

「愨」の読み「カク」が難しいですね。でも、「殻」(カク)を連想すれば覚えやすいです。
今日はここまで。お疲れさまです。

2011年9月24日土曜日

【過去問】H22-1 音読み6-10

昨日の学習会は充実した内容でした。この内容紹介は近いうちにしたいと思います。
今日は勉強です。

【鎖鑰】を施した蔵に賊が侵入した。
⇒【サヤク】=錠(じよう)と鍵(かぎ)。とざし。とじまり。
「鑰」の読みは、「ヤク、かぎ」。他の熟語は、
【鑰牡】(ヤクボウ ) かぎ。▽「牡」は、中につきこむかぎ。『鑰匙(ヤクシ)
【鍵鑰】(ケンヤク ) 筒型のじょうまえ。

・資本の流通に【壅塞】を来した。
⇒【ヨウソク】=ふさぐこと。また、ふさがること。
「壅」の読みは、「ヨウ、ふさ‐ぐ」。他の熟語は、
【壅遏】(ヨウアツ ) 行動をさえぎりとどめる。わく内に押しこめる。
【壅蔽】(ヨウヘイ )=壅敝。 わく内に押しこめて、外と隔てる。君主の耳をふさいで善言や真実を聞かせない。また、君主のそのような態度

・予々その【佼黠】が知れ渡っていた。
⇒【コウカツ】=悪がしこい。
「予々」は「かねがね」。「佼」の読みは、「コウ、うつく‐しい」。「黠」の読みは「カツ、わるがしこ‐い、さか‐しい」。「黠」の熟語は、
【黠智】(カッチ ) 悪がしこい知恵。悪知恵。
【黠獪】(カッカイ ) 悪がしこい。ずるい。〈類義語〉狡獪(コウカイ)
【傑黠】(ケッカツ )=桀黠。 わる賢いこと。

・民衆の間から【懽呼】の声があがった。
⇒【カンコ】=歓呼。 よろこんで声をあげること。
「懽」の読みは、「カン、よろこ‐ぶ」。

【左袵】蟹文の風を蔑んだ。
⇒【サジン】=左衽。衣服をひだりまえに着ること。中国では右衽を中華の風とし、左衽を夷狄の習俗であるとした。
「袵」の読みは、「ジン、ニン、おくみ、えり」。

「蟹文」は「かいぶん」と読み、意味と用例は、日本国語大辞典では、
「かいこうぶん(蟹行文)」に同じ。
*近世紀聞〔1875~81〕〈条野有人〉「左袵蟹文(カイブン)の風を学び夷邦の管轄となるに至らば」
⇒「蟹行文」は「横書きの文章、欧米の文章、書物。蟹文(かいぶん)。」(日本国語大辞典)のことだそうです。なるほど、蟹の横歩きからできた言葉のようで面白い表現だ。これからは横書きの文章を「蟹行文」と呼ぶことにしようか。

2011年9月22日木曜日

颱風

台風15号が日本列島を縦断して大きな被害をもたらした。
皆さんのところは大丈夫でしたか。
まるで日本は地震・津波・台風に次々と襲われる災害列島のようですね。(失礼!)

さて、この「台風」という言葉を辞典で引くと、必ず「颱風」という漢字も併記されている。
明鏡によれば、「台風は代用表記」との説明がある。この説明にまず驚きました。
「颱」について漢字源では、
「台風。夏から秋にかけて、アジア大陸・日本列島などに襲来する暴風雨。▽福建省や台湾地方で、おおかぜを大風(タイフーン)と呼ぶ。それを西洋人がtyphoonと音訳し、アジアに逆輸入され、颱(台風)というようになったといわれる。」

⇒なんと、大風→typhoon→颱、との変遷の説明である。これにもビックリ(吃驚)。ちなみに「颱」を漢検漢字辞典で引いてみたところ、「英語の音訳字」とあったので、これを裏付ける形となった。
さらに日本国語大辞典の注釈を見ると、
「①メドハーストの「英華辞書」(一八四七~四八)では、typhoon に「太風」「颶風」があてられている。
② 日本では平安時代から「野分」が用いられていたが、明治になって、片仮名でタイフーンと書いたり、「大風」と表記したりするようになった。岡田武松が明治四〇年(一九〇七)に台風を学術的に定義付けたのを受け、大正時代から「颱風」が一般化した。
③ 「台風」は「颱風」の書き換え。」となっている。

同じく「颶風」を調べると、
「四方から吹いてくる風をいう。低気圧性の風で、その起源が熱帯にあるときは熱帯颶風という。このうちの強力なものが台風で、温帯低気圧の発達したものは温帯颶風もしくは温帯旋風という。」とある。
颶風と颱風では多少意味の違いがあるようですね。

今日は台風の薀蓄話でした。
明日は同好会の学習会です。しっかり勉強して来よう。

日経「春秋」

昨日に続き新聞関連が続いて恐縮だが、今日は日経のコラム「春秋」が印象に残った。
毎日届く新聞のコラムは身近で読みやすく、感じる所も多くて、楽しみにしているものです。

一部引用。
「母親が毎日1時間歩いて、水をくみにいく。頭に乗せた甕(かめ)一杯の20リットルが家族5人で1日に使えるすべての水だ。「もっとほしくないですか」と尋ねると、母親は澄んだ目でこう答える。「これが、神さまが私たちに下さった量なのです」
▼途上国の集落のそんな逸話がある。熊野三山の一つ、熊野速玉大社の宮司さんが、ホームページに記している。一滴の水も無駄にしないように丁寧にすくって料理を作る母親の姿に、「気高さ」を感じたという。厳しい境遇を嘆かず、恨みもせず、謙虚に天の恵みに感謝する。神へのまなざしの原点がここにある。」(9月21日「春秋」より)

⇒頭に水甕をのせて歩く女性の情景が浮かんでくる。そして、「神へのまなざし」という言葉がその情景に重なったのである。
人間の厳かな部分を垣間見たようだ。
人間という存在は、宇宙から見れば地球を食い荒らす癌のようにも思えるが、まだまだ捨てたものじゃない、と感じた次第です。

2011年9月20日火曜日

今日の新潟日報「窓」欄-「絆」

今日の新潟日報「窓」欄の「私の視点」はいい内容だった。
題名は「絆」。
「絆」の原義は、犬馬などをつなぎとめる綱だった。
自由をあこがれた昔においては、「絆」は自由を拘束するもの、人間関係では切りたくても切れない関係を意味した。
時代は移り、自由を得た現代においては、人と人との結びつきや一体感を深めるという意味での「絆」が求められている。
絆の意味の微妙な違いに日本語の問題や現代の世相が見える、というのが主張の大意だと受けとめました。

⇒この東日本大震災を契機に、いっそう「絆」の文字が見られるようになったと感じていました。
生まれてきた子どもの名前にもこの「絆」を使ったものを見ました。
漢字の使われ方、意味の変化は時代を反映していると感じざるを得ません。
そんなことを考えさせてくれた投稿でした。
※ちなみにこの「絆」は常用漢字でもなく、なんと1級漢字です。

2011年9月19日月曜日

【過去問】H22-1 音読み1-5

急に寒くなりました。なんだか世の中のニュースも寒いのが多いですね。
うちの老犬だけはいつも寝てばかりで天下泰平です。

・近世の俳論を【瀏覧】する。
⇒【リュウラン】=通覧すること。目をとおすこと。「劉覧」とも書く。
「瀏」の読みは、「リュウ、きよ‐い」。他の熟語は、
【瀏亮】(リュウリョウ )=瀏喨。 きよく明らかなさま。音がさえてほがらかなさま。
【瀏瀏】(リュウリュウ ) 風の速くふくさま。

・辺境【遐壌】に至るまで巡幸された。
⇒【カジョウ】=遠く隔たった土地。
「遐」の読みは、「カ、とお‐い、はる‐か」。他の熟語は多くあるが、難しそうなものでは、
【遐陬】(カスウ)・(カシュウ ) 中央からとおく離れたへんぴな土地。辺地。
【遐邇】(カジ ) とおい所と、近い所。遠近。
【升遐】(ショウカ ) 天子の死。崩御(ホウギョ)。
【登遐】(トウカ ) ①登って目的地につく。②天子の死のこと。

・事例の【尠少】な現象である。
⇒【センショウ】=すくない。ほんの少し。「鮮少」とも書く。
「尠」の読みは、「セン、すく‐ない」。「尠=鮮」とある。(大漢語林)
「セン」の音が読みにくいが、字通では尠と鮮は同声とあるので、鮮を連想すべし。(新鮮の鮮だから・・・)
他の熟語は、特になし。

・詩文に【刪潤】を加える。
⇒【サンジュン】=詩文のよくないところを削り、足りないところを補うこと。
「刪」の読みは、「サン、けず‐る」。他の熟語は、類似のものが多い。
【刪修】(サンシュウ ) 不要な字句をけずり改めて、文章をよくする。『刪正(サンセイ)・刪節(サンセツ)・刪定(サンテイ)』▽「修」は、形を整える。

なお、孔子が詩経をまとめたという孔子刪詩説から、
【刪詩】(サンシ ) 孔子が、従来伝わった三千余篇の詩のうち重複したものをけずり、礼儀にかなったものを残して、現在の三百余篇の「詩経」を編集したということ。司馬遷の「史記」の孔子世家の記述に基づく。▽この説は一般に採用されたが、のち、唐の孔穎達(クヨウダツ)、宋の鄭樵(テイショウ)らによって、否定された。 (漢字源)

・中納言の【捐館】の事を録した。
⇒【エンカン】=(住みなれた居館を捐(す)ててこの世を去る意) 死去の尊敬語。
「捐」の読みは、「エン、す‐てる」。意味は大きく次の3つ。
①すてる(スツ)。のぞく。不要な部分をすてる。また、取りのぞく。〈類義語〉棄。「捐棄(エンキ)」「捐館=館ヲ捐ツ」「捐階=階ヲ捐ク」〔孟子〕
②私財をだして人を助ける。「義捐金(ギエンキン)」
③私財をさいて官位を得る。「捐班(エンパン)(買官して役人となった者)」

他の熟語は、
【捐官】(エンカン) 中国の制度で、財政不足を補うため人民に金銭または米穀を納めさせ、代りに官職・資格を授けたこと。捐納・捐輸ともいう。
【出捐】(シュツエン) 金品を寄付すること。

はい、休みで時間があるせいか、大変よく勉強しました。

2011年9月17日土曜日

【中国故事成語】藹藹

連日飲んでばかりいる。今日も町内の頼母子で、ほろ酔いで機嫌よいのだが少し勉強しよう。そのため少し饒舌気味です。
依然買った辞典に三省堂の中国故事成語辞典がある。(最近読みやすい型の改定が出ているようで書店で見かけた。)
これはなかなかスゴイ辞典だなと思っている。何がスゴイかといえば、成語林が分量が多く簡潔な説明であるのに対し、これは原文の書き下し文が一段落文くらい載せて解説してあるところである。

辞典の冒頭は「藹藹」である。詩経が出典です。詩経は以前パラパラと読んだことがありますが、読み方が悪いせいか、どうもあまり響いてきませんでした。「藹藹」の意味そのものは、「和気藹々」で有名で、広辞苑では、
①草木の茂るさま。②多くて盛んなさま。③心のやわらいださま。「和気―」、となっている。
では詩経の原文に当たろう。ただし、書き下しです。

「鳳凰于(ここ)に飛ぶ。翽翽(かいかい)たりその羽。亦た集まりて爰(ここ)に止まる。藹藹(あいあい)として王吉士(きっし)多し。」

(訳文)鳳凰が飛ぶと、さまざまな種類の鳥がこれに従って飛び、その羽音がおびただしく聞こえる。鳳凰が枝に止まると、多くの鳥もまた樹に止まる。同じように、立派な天子の下には必ず多くのすぐれた士が慕い集まる。周の成王の下、その朝廷には優れた人士が多く集まってまさに盛んである。

⇒鳳凰は想像上の瑞鳥だから現実の話ではないが、大袈裟な比喩は中国の得意な所であります。ここに書いてあることを一言にまとめれば、(カリスマ的な)リーダーシップ論ではなかろうか、と思います。ここでの「藹藹」は「多くて盛んなさま」の意味でしょう。
漢字の学習とあわせて、その背景まで楽しめれば最高ではないでしょうか。
今日はこれ以上は無理なので終わり。読んでくれてありがとう!

2011年9月14日水曜日

【六花37号H20-9】中国と熟語シリーズⅦ

前回に続き、今日も六花のシリーズ投稿を紹介します。気楽にお読みください。
実は仕事で疲れたので勉強する気がしないのであった。
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 「 学 以 致 用 」 K・K
最近の中国の若者は英語に堪能な人が多くなった。しかも発音がとても良い。これは小学生のうちからネイティブの先生たちに英語を教わるようになったからだという。
日本でも小学生から英語教育を始めるべきだという声は多いが、必ず「教える教師がいない」「それよりも国語教育のほうが大切」と反対される。二十年以上も前からそう言われてきたが未だに教員養成のカリキュラムができたとも国語教育が外国語に充分対応できるほど充実したとも聞いていない。中国人にできてなぜ日本人にできないのか、それは英語を学ぶ目的が日中で違うからだと思う。日本の教育界にとって英語とは「学ぶ」こと自体が目的なのだ。正しい文法、正しい語彙を学ぶためには高い国語力が要求される。けれども何のために英語を学ぶのかは問題にされない。
中国人にとって英語とは学問ではなく技能の習得だという。留学生達が言うには自動車学校で運転を学ぶのと同じ感覚なのだそうだ。先端技術を得るため、就職のため、金儲けのため、とさまざまな目的を達成する手段として英語を学ぶ。どちらが良いかはここでは問わないが、中国人はこれを「学以致用」と言う。つまり実際に役立てるために学ぶということだ。いかにも中国人らしい現実的な考え方だ。
私は日本語の流暢な外国人に会うと必ずその勉強方法を尋ねているが、実は中国人から教えてもらった方法が一番効率が良い。
ところでヤフーチャイナで「笑話」を検索するとジョークが沢山載っているが、一部を紹介しよう。

ある日国連で会議が開かれた。各国代表は皆発言したがっていた。イギリス人の議長は日本人に発言を許可した。日本人はなにやらもごもご発言した。議長が言った。
「英語で話せませんか?」
日本人は言った。
「私は英語で話しています!」

何年も苦労して正しい英語を学びながらろくに話せない日本人は、中国の若者からはバカに見えてしかたがないようだ。

2011年9月12日月曜日

【六花36号H20-6】中国と熟語シリーズⅥ

今日は久しぶりに六花の連載シリーズです。
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両 袖   K・K
 
 このたびの四川大地震では多くの学校が倒壊した。これは手抜き工事のせいだとも言われている。手抜き工事なら残念ながら日本にもあるが、それはあくまでも業者側の問題なのだ。中国人はそこに賄賂による役人と業者との癒着を疑うようだ。
 中国で事業を行っている人達に成功の秘訣を尋ねると異口同音に役人への賄賂が必要不可欠だと言う。裁判官への賄賂を断わったため酷い嫌がらせを受けたという話はよく耳にする。
 そのような話を聞くとたいていの日本人は嫌な顔をするが、日本と中国では役人の俸禄のあり方が違った。経済の基盤は、日本は年貢米であったが中国は税金で米はそれほど重要ではなかった。城郭都市の城門や交通の要衝からは通行税、都市内では市場利用税などが徴収されていた。地方の知事はその徴税を決まった額だけ皇帝に上納すれば残りを自分の懐に入れても構わなかったし賄賂も見て見ぬふりされた。時代によって異なるが、知事は僅かに米、薪、塩などの現物供与があっただけで原則としては無給であった。またせっかく科挙の試験に合格して役人になっても、政変でその地位を失うこともあれば讒言によって一族諸共退けられることもある。だから取れるうちに取れる所から取れるだけ取っておこうとするのだ。質素倹約に努め悪い事さえしなければ一生安泰の日本とは根本的に違う。
 役所には実務を行う小役人もいたが、彼らもまた無給であった。そこで自分の果たす職分を権利とみなしそれを使って利益を得ていた。すべての役人にまともな人件費を支払っていたのでは国家の経済は成り立たない。
 けれども中国人の名誉のために付け加えておくと、清廉潔白な役人もいたのだ。後漢の揚振は、「天知る地知る子知る我知る」と言って賄賂を退けたが、これは「四知」として日本でも知られている。明代の于謙は民から一切賄賂を受け取らず、高官へ賄賂を積むこともなかった。そして彼の詩の中から「両袖清風」という言葉が生まれた。袖の中に清清しい風しか持たないという意味で、今でも中国ではこの言葉が生きている。 
 ただそのような人達は亡くなった後、家には葬式の費用も残っていなかったという。

2011年9月10日土曜日

【過去問】H22-2 訓読み26-30

飲みすぎの翌日はなかなか勉強する気にならないが・・・
少し頑張ろう。

・秋風が吹き【簟】を巻いて片付ける。⇒【たかむしろ】=竹で編んだむしろ。夏の敷物にする。
「簟」の読みは、「テン、たかむしろ」。熟語は、
【簟牀】(テンショウ )=簟床。 竹のすのこ。また、それを敷いた寝台。

・王の遺徳を称え【誄】を奉った。⇒【しのびごと】=死者の生前の功徳をたたえて哀悼の意を述べる言葉。
「誄」の読みは、「ルイ、しのびごと、いのりごと」。熟語は、
【誄詞】(ルイシ ) 死者をとむらうことば。弔詞。

【朮】を焚く匂いが漂ってくる。⇒【おけら】
「朮」の読みは、「ジュツ、おけら」。熟語は、蒼朮(ソウジュツ)を読めれば十分だろう。

・烈士は名に【徇】う。⇒【したが】
「徇」の読みは、「ジュン、シュン、したが‐う、とな‐える」。熟語は、
【徇地】(ジュンチ ) めぐり歩いてその地方を服従させること。〈同義語〉巡地。
【徇斉】(ジュンセイ ) うまれつき才能がととのっていること。

・仲尼【亟】水を称う。⇒【しばしば】
「亟」の読みは、「キョク、キ、しばしば、すみ‐やか」。熟語は、
【亟行】(キョクコウ ) 急いで行く。
【亟務】(キョクム ) 急いでやるべき務め。

今日はここまで。まず検定以外では使うことのない訓読みばかりですね。
♪あなたは私の奇跡~、あなたは私の希望~♪
では歌のメロディーを口ずさみながら、おやすみ・・・

2011年9月8日木曜日

【過去問】H22-2 訓読み21-25

朝ドラ「おひさま」の歌を聞いた。平原綾香の歌が心に響いた。
実は録画で録っておいたんです。ドラマも歌もいいですね。
なでしこは北朝鮮戦引き分けで残念でした。

・蚕棚の下で【筬】の音が響いている。⇒【おさ】=織機の付属具。
「筬」の読みは、「セイ、おさ」。

・またぞろ蕩心が【熾】んになる。⇒【さか】
「熾」の読みは、「シ、さか‐ん、おこ‐す、おき」。熟語は、
【熾烈】(シレツ ) ①火や光がやきつけるように強いこと。②戦いや争いなどの勢いが盛んで激しいこと。
【熾盛】(シセイ)・(シジョウ ) 物事の勢いなどが非常に盛んなこと。

【燥】ぎすぎの気味がある。⇒【はしゃ】
「燥」の読みは、「ソウ、かわ‐く、はしゃ‐ぐ」。

【疚】しいところがある。⇒【やま】
「疚」の読みは、「キュウ、やま‐しい、や‐む」。熟語は、
【疚心】(キュウシン) 心をなやます。いつまでも気がとがめる。

・唐詩数首を【諷】んじる。⇒【そら】
「諷」の読みは、「フウ、そら‐んじる」。熟語は、
【諷詠】(フウエイ ) 詩歌を節をつけてうたう。
【諷意】(フウイ ) 思っていることをそれとなく遠まわしにいう。
【諷諫】(フウカン ) 遠まわしにそれとなくいさめる。

今日はこれまで。さて愛犬の散歩に行くとするか。

2011年9月7日水曜日

【常用難読】夜勉です

ちょいと夜の勉強です。

【郭】通いをする。 ⇒【くるわ】 「曲輪」、「廓」とも。
【確と】見届ける。 ⇒【しかと】 「聢と」とも。
・ナイフを突きつけて【嚇かす】。 ⇒【おどかす】 「脅かす」とも。
【括れた】腰 ⇒【くびれた】
・苔で【滑る】岩 ⇒【ぬめる】
・薄給で【且且】一家を養う。 ⇒【かつがつ】
【甘い】話には気をつけろ。 ⇒【うまい】 
【冠木門】 ⇒【かぶきもん】=冠木を2柱の上方に渡した屋根のない門。衡門(こうもん)。
【巻繊汁】 ⇒【けんちんじる】
・泣こうが【喚こう】が、連れてきてください。 ⇒【わめこう】
・三か国語が【堪能】である。 ⇒【かんのう】=深くその道に達して上手なこと。
・才能あふれる演奏を【堪能】した。 ⇒【たんのう】=(足リヌの音便足ンヌの転訛。「堪能」は当て字) 十分にみちること。あきたりること。
・風呂上がりのビールは【堪えられない】 ⇒【こたえられない】
・痛みを【堪える】。 ⇒【こらえる】 「怺える」とも。
・この日照りでは花は【堪らない】。 ⇒【たまらない】

「堪」にはいろいろありますね。「かんのう」と「たんのう」の違いが面白いです。
夜のちょい勉でした。

【常用難読】朝勉です

朝のすきま時間にちょい勉強。

・一抹の不安が胸を【過ぎる】。 ⇒【よぎる】
・枚挙に【暇】がない。 ⇒【いとま】
【禍々しい】事件   ⇒【まがまがしい】 「曲曲しい」とも。
【餓えて】死ぬ。   ⇒【かつえて】 「飢えて」とも。
・障子を【開け閉て】する。 ⇒【あけたて】
・着物のすそが【開ける】。 ⇒【はだける】
・社殿の【階】にたたずむ。 ⇒【きざはし】
・肩の凝りを【解す】。    ⇒【ほぐす】
・縫い目が【解れる】。    ⇒【ほつれる】
・何の【外連味】も感じられない。 ⇒【けれんみ】=俗受けをねらったいやらしさ。はったり。ごまかし。
【外方】を向く。       ⇒【そっぽ】=(ソッポウの約) 正面でなく、よその方。
※そっぽう【外方】 (其方(そほう)の促音化とも) そとのほう。ほかの方。よそ。
 そっぽうめっぽう【外方滅法】 (「めっぽう」を強めていう語) めったやたらに。

餓えて」、「開け閉て」、「外方」は分かりませんでした。「外連味」は書けそうにないな。
はい、朝のちょい勉は終わり。

2011年9月5日月曜日

ブログの衣替えをしました

これをご覧のあなた、いつも拙いブログを見ていただきありがとうございます。

西日本に大きな被害を与えた台風が過ぎて、すっかり涼しくなりました。
ふと思いついて衣替えをしてみました。
少しは雰囲気が変わったでしょうか。
その他の変更は、
・分類ラベルをサイドに配置したこと。
・行事日程のページを作成したこと。
・サイドのリンクに、過去に載せた「四字熟語」、「熟字訓・当て字」、「故事成語」、「書き取り」、「E!ことば」をリンクしました。(復習に活用できます。ま、倉庫のようなものです。)

今後も四六四九!
※「よろしく」の当て字です。なんと八犬伝で有名な滝沢馬琴が当時使った当て字です。(出典:「当て字・当て読み漢字表現辞典」(三省堂、笹原宏之))

2011年9月3日土曜日

【漢詩漢文名言】吾れ天地を以て棺槨と為す

荘子、将に死せんとす.。弟子、厚くこれを葬らんと欲す。荘子曰わく、
「吾れ天地を以て【棺槨】と為し、日月を以て【連璧】と為し、星辰を【珠璣】と為し、万物を【齎送】と為す。」

われ、てんちをもって【かんかく】となし、じつげつをもって【れんぺき】となし、せいしんを【しゅき】となし、ばんぶつを【しそう】となす。

<解釈>
 私は天と地とを棺桶(かんおけ)とし、太陽と月とを一対の大きな玉とし、夜空の星々を小さな珠玉とし、万物を送葬の贈り物と思っている。(だから、私の葬具はもうすべて備わっているのだ。)
<出典>
 『荘子(そうじ)』列禦寇(れつぎょこう)第三十二。

<解説>
 荘子(そうし)の臨終のとき、弟子たちが手厚く葬りたいと思っていると、荘子がそれを察知し、自分の葬式は何一つ加えてはならぬとして告げた言葉である。


⇒棺槨はH22-2の過去問に「椁」で出題されている。槨は異体字。
【連璧】(レンペキ) 〈故事〉一対の美しい玉。▽一対の美しいものや、すぐれた二人の友人にたとえることもある。「双璧(ソウヘキ)」とも。
【珠璣】(シュキ) まるい宝玉と、かくばった宝玉。宝玉のこと。※「璣」は第3水準漢字で、漢検漢字辞典にもなし。
【齎送】①(セイソウ )持っていく。とどけ送る。②(シソウ )葬式のとき死者の遺体と共に墓に埋める物品。
「齎」の読みは、「セイ、シ、サイ、もたら‐す」。

日本では、「人間到る処青山あり」を連想させる文章です。※(参考辞典)漢詩漢文名言辞典、漢字源

2011年9月1日木曜日

【過去問】H22-2 音読み16-20

9月ですが台風の影響か、夜になっても暑いです。さて今日の勉強です。

【喟然】として嘆息する外なかった。
⇒【キゼン】=嘆息をつくさま。『喟焉(キエン)・喟爾(キジ)』
「喟」の読みは、「キ」。あれっ、漢検漢字辞典には訓読みがない。
はあと、息を出す意。他の熟語は、特にない。

【嬖臣】の重用が朝政を乱した。
⇒【ヘイシン】=君主の気に入りの家来。
「嬖」の読みは、「ヘイ」。これも漢検漢字辞典には訓読みがない。
意味は、①身分の高い人の身辺に仕える、身分の低い女中。②きにいり。身分の高い人の身辺の世話をする身分の低い者で、気に入りの近習(キンジュウ)。男女両方に用いる。「便嬖(ベンペイ)(召使)」「内嬖(ナイヘイ)(気に入りの小姓や近習)」
他の熟語は、
【嬖幸】(ヘイコウ ) 君主のそば近くに仕えていて、気に入られ、かわいがられる。また、その者。
【嬖妾】(ヘイショウ ) 気に入りのめかけ。
【倖嬖】(コウヘイ ) 主君のお気に入りの女。愛妾(アイショウ)。
【外嬖】(ガイヘイ ) 身内ではなくて、君主の気に入りの臣下。

【僉議】する迄もない事である
⇒【センギ】=みんなで相談する。
「僉」の読みは、「セン、みな」。他の熟語は、
【僉謀】(センボウ ) みんなで計画をたてる。

【蜂蠆】の毒に犯さるるが如し。
⇒【ホウタイ】=はちとさそり。小さくて恐ろしいもののたとえ。
」(万の旧字体の下に虫)の読みは、「タイ、さそり」。他の熟語は、特にない。

・人皆【七竅】有りて視聴食息す。
⇒【シチキョウ】=①頭部にある七つの穴。両目・両耳・鼻・口の穴のこと。〔荘子〕
②聖人の胸にあるという七つの穴。▽比干(ヒカン)が殷(イン)の紂(チュウ)王をいさめたとき、王は聖人の胸には七つの穴があるというからためそうといって比干を殺したという故事がある。〔史記〕
「竅」の読みは、「キョウ、あな」。他の熟語は、
【九竅】(キュウキョウ ) 人体にある九つの穴。口・両眼・両耳・両鼻孔・両便(大小便)の穴のこと。
【空竅】(クウキョウ ) あな。耳・目・鼻・口などのからだのあな。

今日はこれまで。
なでしこジャパン、まずはタイ戦快勝でよかった。