2011年4月30日土曜日

がんち

80代の痴呆の母親がデイサービスに行くとき、「がんちなもんで靴がよく見えん」と話していた。よく「がんち」と言うのだが方言かと思っていたが電子辞書をしらべて驚いた。なんと広辞苑にあった!

●がん‐ち
(→)「かんだ」に同じ。
●かんだ
片方の目が不自由なこと。がんち。〈日葡〉 とある。

ネット辞書でしらべてみると・・・日本国語大辞典に、
●がんち〔名〕(「かんち」とも)「かんだ(瞎)」に同じ。 とある。漢字があった!

【瞎】読みは「カツ」「かため」
意味は、
1.かため。かためがつぶれているさま。「瞎虎(カッコ)」
2.目が見えないさま。「瞎子(カッシ)(目が見えない人)」
3.めったやたらなさま。でたらめなさま。 とある。(漢字源)

熟語としては、日本国語大辞典には、
【瞎漢】かっ‐かん〔名〕(「瞎」は目のみえない、「漢」は男の意)目のみえない男。*日葡辞書〔1603〜04〕「Caccan (カッカン)。 すなわち、メクラ」
【瞎却】かっ‐きゃく〔名〕(「却」は動作の完成したことを表わす助辞)目が見えず、くらくなること。 
とある。
今日の新たな発見だった。

金妍児(キム・ヨナ)

きのうはウィリアム英王子の挙式を世界中の人が見たのだろう。ケイト改めキャサリン妃はダイアナ妃とは違った静かな美しさだった。そのあと女子フィギュアを見ながら途中で寝てしまったが、後半いいところで眼を覚まして見たら、キム・ヨナが安藤美姫を抜いて首位とは少し首をかしげてしまった。ジャンプの着地ミスがあっても首位とは・・・?(ブーイングです。) キム・ヨナは漢字では金妍児と書くらしい。

「妍」は「ケン」「うつく-しい」。熟語が多いのに驚いた。

【妍好】(ケンコウ )顔かたちがうつくしい。きりょうがよい。〈同義語〉娟好。
【妍冶】(ケンヤ )うつくしくてなまめかしい。
【妍和】(ケンワ )けしきなどが、うつくしくなごんでいるさま。「青春妍和月=青春妍和ノ月」〔⇒李商隠〕
【妍蚩】(ケンシ )うつくしいことと醜いこと。また、好ましいことと憎らしいこと。美醜。『妍醜(ケンシュウ)』「妍蚩黒白失本態=妍蚩黒白本態ヲ失フ」〔⇒白居易〕
【余妍】(ヨケン )①あふれるばかりのあでやかさ。女の非常にあでやかなこと。②女の、内に秘められた奥ゆかしい美しさ。
【争妍】(ケンヲアラソウ )うつくしさを競う。「闘妍(ケンヲタタカワス)」とも。
【暄妍】(ケンケン )あたたかでけしきが美しい。▽「妍」は、形よく整うこと。
【端妍】(タンケン )行儀正しくきちんとしていて、容貌があでやかなさま。
【繊妍】(センケン )=孅妍。ほっそりして美しい。からだつきが小づくりで、ほっそりしてととのっていること。
【蚩妍】(シケン )みにくいことと、美しいこと。美醜。
※協力=漢字源
美しさに関する熟語は実に多いものだと感心したのである。

2011年4月29日金曜日

【過去問】ちょこっと、勉強しましょ!

【検覈】H22-3
(ケンカク ) あたって調べて、事実を明らかにする。
→カクがなかなか読めないです。「覈」の意味は、「しらべる。きびしく事実をしらべて明らかにする。」ことだそうです。
 したがって、訓読みは「しら-べる」です。

→「覈」の熟語としては、ほかには、
【覈考】(カクコウ )きびしくしらべる。
【覈論】(カクロン )①きびしく議論する。②しらべて評論する。

※協力=漢字源
以上、本日のちょい勉強はいったんここまで。

2011年4月28日木曜日

【六花18号】歴史誰そ彼 Rekishi Tasokare 其の1

六花には歴史関係の投稿もある。
今回は六花18号(2003年12月)から記事を紹介します。

阿倍仲麻呂 (あべのなかまろ) - 李白に死んだと思われた文人

 なぜ阿倍仲麻呂かというと、百人一首で有名ということもあるが、よく分からないからである。
百人一首には「天の原ふりさけみれば春日なる三笠の山に出でし月かも」の歌がある。
この歌は、阿倍仲麻呂が留学先の中国(唐)で、帰国を前に詠んだ望郷の歌とされている。
果たしてそれは本当なのだろうか。

ここでプロフィール。
阿倍仲麻呂(698~770)
717年19歳で遣唐留学生として唐へ渡り、玄宗皇帝に気に入られて役人として出世。
ということは、あの解語の花 楊貴妃にも会っていたんじゃないかな。(関係ない!)
役人といってもちゃんと難関の科挙の試験に受かっているんだからスゴい。
唐名を朝衡(ちょうこう)、あるいは晁衡(ちょうこう)という。
李白や王維らとも交流をする。
帰国を願い出てもなかなか聞き入れられず、753年55才でやっとお許しを得て帰国の途に。
その折の送別の宴で詠んだのが「天の原~」ということになっている。
帰国の船は沖縄まで来るも、暴風雨のため安南(ベトナム)へ漂着。(別船の鑑真は無事日本へ到着)
命からがら長安まで戻り、再び朝廷に仕え、日本の土を踏むことなく72歳で没した。

李白は、阿倍仲麻呂が遭難した翌年に、彼が死んだものと思い、詩を作っている。(一部私訳)
哭晁卿衡     晁卿衡を哭す      晁卿衡(阿倍仲麻呂)を思って泣く
日本晁卿辭帝都、 日本の晁卿帝都を辭し、 日本の晁さんは長安の都に別れを告げ、
征帆一片遶蓬壺。 征帆一片蓬壺を遶る。  帰国する船は小さくなり東海の蓬壺をめぐった。
明月不歸沈碧海、 明月歸らず碧海に沈み、 明月のような貴方は遭難で帰らず青い海に沈み、
白雲愁色滿蒼梧。 白雲愁色蒼梧に滿つ。  白雲は悲しみの色に染まり蒼梧の山に満ちている。

また王維は、阿倍仲麻呂が帰国する際に、送別の詩を作っている。(一部私訳)
送秘書晁監還日本国  秘書晁監の日本国に還るを送る
積水不可極  積水極む可からず       深い深い海
安知滄海東  安んぞ滄海の東を知らんや   青海原の東は知りようもない
九州何處遠  九州何処か遠き        世界中でどこが一番遠いのか(日本だろう)
萬里若乘空  万里空に乗ずるが若し     万里の旅は空を飛んで行くようなもの
向國惟看日  国に向いては惟だ日を看    日本に向かうにはただ太陽の昇る東を見て
歸帆但信風  帰帆は但だ風に信すのみ    帰国の船旅はただ風に任せるだけ
鰲身映天黒  鰲身(ごうしん)天に映じて黒く 大海亀の姿が映って空は黒くなり
魚眼射波紅  魚眼波を射て紅なり      大魚の眼が波を射て海は赤くなる
郷樹扶桑外  郷樹扶桑の外         郷里の樹木は(東海の神木)扶桑より遠く
主人孤島中  主人孤島の中         貴方の主人(天皇)は絶海の孤島の中にいる
別離方異域  別離方(まさ)に異域      貴方はこの度の別れで異郷の人となる
音信若爲通  音信若爲(いかん)してか通ぜん 便りをどのようにして届けようか

李白や王維にここまで詠われた阿倍仲麻呂とは一体どのような人物だったのか。
決断力、行動力、才知、魅力いずれも兼ね備えたスーパーマンに見えてくる。
そもそも、中国に50余年居て、和歌が1首しか残っていないのも不思議だ。
一番分からないのは、中国で詠んだとされる和歌を誰がいつ日本に運んで来たのかということだ。
帰国前の送別の宴で詠んだというのはドラマチックではあるが、史実は藪の中である。

2011年4月26日火曜日

【過去問】どぉぉれ、勉強しましょ!

■【彭湃】H22-3
(ホウハイ )=澎湃。波があたってくだけるさま。
→「彭」を「ホウ」と読むのんか。ほうか、ほうか。左側のパーツをホウと読むのかなあ。膨張の膨にも同じパーツがあるもんねえ。意味は「ふくれる」ということらしい。他の熟語は・・・
【彭殤】(ホウショウ )長命と短命。▽「彭」は、堯帝の臣下の長寿者、彭祖のこと。「殤」は、年若くして死んだ者のこと。「斉彭殤為妄作=彭殤ヲ斉シウスルハ妄作タリ」〔⇒王羲之〕

→「ホウハイ」と読む熟語には他には次のようなものがある。
【朋輩】(ホウハイ)・(ホウバイ )身分や年齢が同等である友達。同輩。『朋儕(ホウサイ)・(ホウセイ)・朋儔(ホウチュウ)・朋徒(ホウト)』
【滂沛】(ホウハイ)・(ボウハイ )①雨が盛んに降るさま。「雲飛揚兮雨滂沛=雲ハ飛揚シテ雨ハ滂沛タリ」〔⇒揚雄〕②水のひろびろとしてゆたかなさま。③意気の盛んなさま。「吐滂沛乎寸心=滂沛ヲ寸心ニ吐ク」〔⇒陸機〕④恩沢のあまねく行き渡っているさま。
【滂湃】(ホウハイ)・(ボウハイ )水の勢いの盛んなさま。
【豊沛】(ホウハイ )①話題が豊かでふき出るようにしゃべる。▽「沛」は、いちどにふき出すこと。②地名。漢の高祖劉邦(リユウホウ)が挙兵した地。今の江蘇(コウソ)省沛県。

※調査協力=漢字源
今日の勉強は終わりです。

2011年4月25日月曜日

【六花30号】漢字問答

「六花」は同好会機関紙の名前です。「雪の異称」(広辞苑)の意味です。
新潟にピッタリのイメージだと思います。
六花発行は年4回(3、6、9、12月)で現在は46号までです。
今回は30号(2006年12月)の紙面から紹介します。

「漢字問答」 (I.Sさん)
 中学二年の息子が十月に漢検準二級の学校受験をした。合格したら次は二級を目指すらしい。一方、漢字パズル雑誌にも夢中で、最近は漢字に興味を持ってきたようだ。

「父ちゃん、これ読めるか?」
「何でも出してみろ。」(自信満々。)
「では、『 陵 』は?」
「陵? えーと・・・何だっけ。」
「答えは『みささぎ』だよ。へっへー。」
「ああ、天皇の墓だったな。」
「じゃ次は、『 錘 』は?」
「何じゃー、さっぱりわからんぞ。スイじゃダメか?」(※スイは音読み。)
「答えは、『 つむ 』だよ。この二問は父ちゃんの二級問題集で、バツがついてたんだよ。」(がっくり。)
 何と以前間違えた所をまた間違えたというわけ。人間の記憶と言うものはどうやらこんなものらしい。
 そこで息子へのスーパーアドバイスとして、「いいか、問題集には直接答えを書き込め。全部終わったら、間違えたところをもう一度やるんだぞ!」と、自分の反省を逆に言い聞かせたのであった。
「父ちゃん、次の問題!」
「よし来い。」
「まず、『 現 』は?」
「『 げん 』だけど『 うつつ 』か?」
「正解。じゃ次は『 現世 』。」
「そりゃ、『 げんせ 』だろ。」
「はずれだよ、それもあるけど『 うつしよ 』が正解。」(うっ、ずるい。)
「次、『 現身 』は?」
「また現の字か。『 うつつみ 』か?」
「ブー、『 うつしみ 』だよ。」(頭が混乱し始める。)
「次、『 現人 』は?」
「しつこい奴だな。『 うつしびと 』でどうだ?」
「ハズレ、『 うつせみ 』または『 うつそみ 』が正解。ダメだなあ。」
(完全に頭が混乱してしまった。)

「では父ちゃんに、難しい問題。『柿落し 』はどう読む?」
「ほっほっほ、『 こけらおとし 』だろ?」(自信を持って返答)
「うっ、よくわかったな。」
「おい、柿(かき)と柿(こけら)は違う字なんだぞ。知っとるか?」
「ウソ!同じだろ。」
(ここで大型の漢語林を引っ張り出す。)
「ほら別字と書いてある。柿(こけら)の市は真ん中の棒が一直線なんだぞ。(ここで親の威厳を示す。) まあ、頑張って勉強せいよ。」
 ある日の父子の漢字問答であった。(了)

※この息子はこの2年後の高校1年で漢検1級を取り、現在は大学生となっている。

2011年4月24日日曜日

総会・学習会が開催されました

総会で今後の活動方針などを協議しました。
学習会は「中国語で楽しむ漢詩」を会員のK女史から講演していただきました。
平仄と音韻の話を聞いて、難しいことだけはわかりました。
でも中国語で読む漢詩の響きは美しいです。美味!美味!

「南朝四百八十寺」で「はっしんじ」の「十」を「しん」と読むのはなぜか。
ちゃんと理由があるのですね。

2011年4月23日土曜日

スマホで投稿

スマホから投稿を試しています。
ブログ初心者なもので(((^^;)

新潟漢字同好会のブログを作りました!

活動報告や機関紙の紹介、漢字・日本語の話題などを発信するブログを立ち上げました。