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2011年12月30日金曜日

【六花49号H23-12】笹原教授講演会の報告

機関紙「六花」の最新号が発行されましたので、そのなかから今年11月20日に開催された講演会の記事を紹介します。
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  笹原教授講演会の報告  I.S

熱気に包まれた会場
 去る十一月二十日、新潟市駅横のガレッソホールにおいて、現在、漢字を主とした日本語学で大活躍中の早稲田大学笹原宏之教授による講演会が開催されました。
 主催は当同好会ですが、会員だけで聞くのはもったいないので、新潟日報やポスター、ブログ等を通じて、広く会員以外の参加を呼びかけたところ、夫婦や家族、新大の学生も集まって、会場は五十二名の参加者の熱気で上着を脱ぐ光景が見られました。(暖房が効き過ぎたかな。)

聞く者を引き摺り込む話術
 あっという間の2時間でした。「へえ~」「ほお~」という多くの参加者の感声やら溜息が、私には確かに聞こえましたぞ。先生のウイット語り()に笑い声が絶えない楽しい2時間でした。参加者を代表して(勝手に)、先生、どうもありがとう!
また、お願いします。(参加者一同)
絶対、来て~!(女性陣の黄色い声)

名著「日本の漢字」
 私はひそかに予習をして参加しました。その予習とは、私が名著と信じている「日本の漢字」(笹原宏之著、岩波新書)を再度拾い読みしただけのことなのだが、以前読んだときとは明らかに違う理解が自分の内側で起きていると感じました。この本を読んで、講演を聞くと実にわかりやすい。逆に、講演を聞いてから本を読んでも同じだろう。この拙い投稿を読んでいる方々には、一読をお勧めしたい。必ずや目から鱗の一枚は落ちることでしょう。(最近出版された「漢字の現在」(三省堂)は、その次に、または並行して読むとより効果的、というのが私の考えです。)

講演内容の主な項目
 笹原先生の講演は、具体例を挙げながら大変わかりやすいもので、うっかりするとその例を持ち出した意図を考えないで通過してしまうかもしれないので、メモは最小限にして話に聞き入りました。
 先生の話の要点を次のように整理してみました。
  一、地域文字
二、平仮名による意味の変化
三、漢字使用の多様性と日本人
四、情緒の好きな日本人
五、集団文字
六、個人文字
七、漢字の現在
これだけではわからないので、以下、これに沿って私の感想を交えながら講演内容の一部を紹介します。 

一、地域文字
或る特定の地域でのみ使用されている文字があり、それを先生は地域文字と呼んでいる。例えば、新潟の「潟」について、新潟の人の多くは略して書く。(末尾※1参照) 何と松尾芭蕉も同じ略字を使っていたという。「へえ~」となりますね。
京都に行くと、「都」の「者」の上部分が「土」になっているものが多いことに気付いたと述べられた。皆さんも今度京都に行く時は、注意して見てみませんか。
文字には、「よく筆記する文字で複雑な字画のものは簡略化される」という原則(筆記の経済原則)が見られ、その表れと考えられるようです。 

二、平仮名による意味の変化
常用漢字にないために平仮名で書くことがある。例えば、ぶ然(憮然)、あ然(唖然)、がく然(愕然)、が然(俄然)などである。これらは、平仮名で書くことによって、本来の意味がわからなくなり、人によっていろいろな意味で使用されている例です。つまり、「平仮名が意味を変える」という現象が生じていることを先生は述べられました。何気ない所に、現在の漢字使用の傾向を分析されていることに、先生の研究者としての一端を感じました。 

三、漢字使用の多様性と日本人
例えば、「明日」という熟語は、「みょうにち」「あす」「あした」などといくつもの読み方をする。これを分解して、太陽()が出て、月が出て、また太陽が出るから、明日というのだ、との俗解をする生徒がいたり、「才色兼備」を「彩食健美」と書いたりするらしい。
一方では、「石丸電気」「ヤマダ電機」「ベスト電器」「ケーズデンキ」と使い分けをし、茶碗の「わん」の場合は素材によって「碗」「椀」「鋺」「埦」などと使い分ける。
これらから見える日本人の特性は、漢字を多種多様に使用する日本人、漢字に意味を見い出そうとする日本人、細かい部分までこだわる日本人などの姿が見えると述べられていたかと思う。
確かに、現在の漢字使用に至る日本の歴史を考えてみても、―外国の文字を日本語として受け入れ、その後も外国の言葉・概念を漢字に訳して我がものとするなど―、日本人は極めて順応性・弾力性が高い性質を持っていると言えそうだ。さらには、四季折々の花鳥風月を愛でる日本人の繊細な特性、「情緒」に関しては次で。 

四、情緒の好きな日本人
文字にはそれぞれ「語感」がある。
植物の「バラ」をどう書くかと問えば、「バラ」「薔薇」「ばら」とさまざまだが、なかには「わたくしは『ローズ』を使いますわ。ホホホ。」と仰るお嬢様もいるようだ。
また、「好き」は使うが「嫌い」はキツいので平仮名で「きらい」とする例など、文字の語感に敏感でそれを生かそうとする日本人の特性が見えるという。 

五、集団文字
特定の集団に特徴的な文字を、先生は集団文字と呼んでいる。
仏教界では「観音菩薩」を頻繁に書く必要に迫られ、「菩薩」を略して草冠2つで書く習慣があったそうだ。
さらに進んで草冠2つを合体した1文字の漢字()まで作りだしたという。これは中国で行われ、何と空海も使っていた跡が残っているという。(末尾※2参照)  筆記の経済原則は、ここにも表れていたということか。 

六、個人文字
個人が造った漢字というものがある。(末尾※4参照) 実際に広く使われ続けることは稀だが、なかには常用漢字入りした文字があるとのことです。
リンパ腺などの医学用語に多い「腺」という漢字が何と個人文字。江戸後期の蘭学者、宇田川榛斎(うだがわ‐しんさい)が造ったものだそうで、とうとう今回常用漢字入りして、できれば出世文字とでも呼びたいですね。
先生は個人文字について、「可能性を秘めた文字である。」と述べられましたが、本当にそうですね。 

七、漢字の現在
ケータイで「面倒臭い」を変換すると「臭い」は「ξ」(ギリシア文字でクサイ)と出る。(末尾※3参照)一部の者はこれを面白いと思い使い始める。そんな多種多様な漢字使用の実態が現在である。
今回の講演の総括的な先生の言葉は次の点にまとめられると思います。

・漢字及びその使用は常に変化している。
・その変化の結果が現在である。
・歴史のなかに現代があり、我々がいる今現在はその最先端にいるのだ。 

以上が、今回の講演会の内容報告です。現在の漢字使用は、やがて未来から見れば過去の歴史となって、どのように評価されるのか。いずれにしても、「現在の使用実態を記録に留めておかなければならない」と笹原先生は考え、外出時はデジカメを片手に面白い表記と見るや反射的にシャッターを切るというまるで西部劇の早打ちガンマンのような技を駆使して、日夜研究に取り組まれておられる姿勢に心から敬意を表したいと思います。
またお呼びしたいと思いますので、会員の皆さんの応援をお願いします。最後に、先生ありがとうございました。

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長くなりましたが、以上が講演会の内容報告の記事です。
漢字の奥深さを感じますね。

2011年11月22日火曜日

笹原宏之教授講演会

昨日(正確には20日)新潟市で同好会学習会の一環として、予(かね)て懇意にしている早稲田大学の笹原宏之教授を招いて、講演会を行った。一般参加も含め約50名が名講演に耳を傾けた。
「漢字の現在」をテーマに、あっという間の楽しい2時間だった。
漢字の多様性、地域文字、集団文字、個人文字など(これだけではわからないですね)、幅広い漢字の使われ方などについて、「へえ~」とか「ほう~」とかの声が聞かれるような講演だった。

たとえば、漢字の略字について、「菩薩」を上の草冠を2つ書いてすませる、さらには草冠を上下に書いて1字ですませる、もっと進化して上下を合体して書く例(井のような字形)が仏教界で見られる例としてあげられた。空海も使っていた(もとは唐の僧侶が使っていたとか)という歴史ある略字です。
これらは、筆記する使用頻度が多いために生じたもので、「筆記の経済」ともいうべきものだそうです。

今日の(正確には21日の)新潟日報にも記事になりました。参考までにその写真をどうぞ。(寛大な日報さんお許しを。)
※参考リンク(三省堂)→「漢字の現在 第139回 「菩薩」の略字―現代の抄物書き」

2011年8月18日木曜日

9月の学習会予定

9月の学習会は、次のように実施予定です。

日時: 9月23日(金、祝日) 午前10時~正午
内容: 講演会
     1部 「解剖学から見た漢字」-漢字に秘められた古代中国人の叡智-
     2部 漢検1級対策講座
    講師: 副会長H・H氏
場所: 新潟市万代市民会館2F(新潟中央郵便局の近く)

第1部の講演は、去る6月26日に東京において、漢検生涯学習ネットワークの第1回会員向け研修会で発表され、好評を博したものです。
氏は病理医という職業柄、漢字と医学が深く関係していることを実感しており、それを一部成果としてまとめて東京講演よりさらにパワーアップするかも・・・・。楽しみです。

第2部は、漢検対策講座です。氏は平成16年に高得点で文部科学大臣奨励賞も取得し、1級の連続合格も続けている実力者です。その秘訣を惜しみなく公開してもらいましょう。

同好会会員に限らず、興味のある方は是非お出でください。無料ですよ。
今日は来月の学習会のPRでした。

2011年6月26日日曜日

【学習会】漢検一級対策講座

今日、長岡で学習会が開催されました。
「漢検一級対策講座」として、「故事・成語・諺」を題材に会長から説明があり、意見交換をしました。
約320余りの項目をまとめたレジュメをもとに幅広く説明をいただきました。
今後もこの講座は、さらに工夫して継続していけると為になると思います。

学習会後は昼食会(というか懇親会)にうつり、なごやかに楽しく歓談しました。
久しぶりにお会いする方もいて話が弾みました。
商売のオーダーメイドの服の仕立ての話やら、昔、鶴田浩二主演のNHKドラマで「襯衣(シャツ)の店」というのがあったね、とかいろんな話が楽しかったです。

学習会の様子は後日、「六花」に掲載されると思いますので、そのときはまた改めてご紹介します。
では、今日はこのへんで。

2011年5月10日火曜日

【六花46号H23/3】笹原宏之教授への質問と回答 No.3

昨日の続きです。これで一区切りとなります。

Q9.笹原先生が、ご自身の考えの中で、常用漢字表に入れたかった漢字は有りますか。また逆に、削除してもいいのでは、と思った漢字は有りますか。(O・M)
A9.上記のほか、「嬉しい」「凄(すご)い」は訓読みの形容詞とはいえ、実勢を考慮し、採用しても良かったと思います。「鬱」は微妙で、「躁鬱病」は世上に多い「躁うつ病」ではなく、「そう鬱病」と書かれることになりますので、医学界での対応が気に掛かります。

Q10.「巳(み)は上に、已(すでに)なかばに、己(おのれ)下」と、昔母が習った巳・已・己の覚え方を聞いた事がありますが、そのように似ている漢字の覚え方が有ったら、教えてください。(O・M)
A10.大正時代に刊行された「大字典」は、「瓜に爪有り、爪に爪なし」など、本文にこういうものを書いてくれている画期的な辞書でした。鑑だけでなく、鏡としての役割も考えてくれた良い辞書です。中世の「和玉篇」や江戸時代の「節用集」なども実はそういう面を持っていたものでした。

Q11.「1点しんにゅう」と「2点しんにゅう」の成り立ち(違い)・語源について教えてください。(I・T)
A11.しんにゅう(しんにょう 之繞)は元は7画の字(音はチャク)で、構成要素としての使用頻度が高いために「足」「走」よりも草書化が進み、いってしまえば略字として定着しました。その際に、2点か1点か(あるいは点を省くか)、縦線を曲げるか曲げないか、手書きや印刷の場で揺れが生じました。今日では、そのしんにょうの点の数だけに意識が集中しますが、もっと漢字というものには、着目したら楽しく考えられる「点」がたくさんあると思っています。

【笹原先生からのコメント】先日は、当て字に関するあれこれを、熱心にまた朗らかにお聞き下さって、ありがとうございました。お陰様で、いつもより楽しく、そしてたくさんのお話ができました。東京生まれ、東京育ちの私にとって、新潟は何度も伺ううちに、第二の故郷のように感じられます。私の日本海のDNAが、越後・佐渡の土地、食べ物、そして皆さまに、何か懐かささえ感じるようです。また、ぜひお呼び下さいね!

⇒う、う、う、ありがたいお言葉・・・涙がチョチョ切れます。。。先生今後ともよろしく、おねがひいたひまふ・・・ビー!(鼻をかむ音)

2011年5月9日月曜日

【六花 46 号 H23/3 】笹原宏之教授への質問と回答 No. 2

昨日の続きです。

Q5.話し言葉と書き言葉のへだだりとは?(K・A)
A5.話し言葉は常に変化します。「論語」は周代の話し言葉、「源氏物語」は
平安朝の話し言葉と考えられています。それが変化しても、書き言葉は保守的な
ので文語として残ります。そうして両者の間には隔たりが生まれてしまったわけ
ですが、そこにも時には味わいを生む表現を見つけることができます。

Q6.「漢字表現辞典」は、どれくらいの年月をかけて完成したのでしょうか。
手近に置いて、時間のあるときに拾い読みしています。コンパクトサイズのもの
があったら旅行や待ち合わせの時に持って出かけたいです。将来新書版サイズで
全4巻くらいで出版できないでしょうか。(I・M)
A6.当て字は、小学校高学年から気になりだし、辞書風のノートを手作りし始
めましたが、中学の時にキリがないと、いったん区切りをつけました。当時は、
「秋桜(コスモス)」のようなものがテレビなどに出てきても、辞書になかった
ため(根拠の薄い規範意識からでしたが)、許せませんでした。その後、当て字
は気にはなり続け、数年前から収集を再開し、最後は半年ほど、大学の講義以外
はその編纂に集中して当たりました。三省堂では、手軽な電子版を検討はしてい
るとのことです。教育上宜しいものだけを選んだ子供用なども、冗談としてかも
しれませんが話に出ています。

Q7.笹原先生がこのたび上梓された「当て字、当て読み 漢字表現辞典」を開
くと、漢字、日本語の豊かさや変幻自在な弾力性を再認識しましたが、漢字・日
本語の現状についての感想と今後どのように推移するのかについて、お聞きした
いです。(I・S)
A7.日本では、漢字の持つ自由さがいっそう謳歌されていますが、今日の作は
直感的なひらめきだけに終わっていて、じっくりと考えた形跡や、歴史性に裏付
けられた素養をほのめかすものや典拠をもつことによる深みを感じさせるものが
やや乏しく、造った人の感性に頼っただけの独りよがりといわれかねないものも
目立ちます。イメージだけで漢字を使うと、表意性をもつ漢字の性質を変えてい
く可能性がありますが、とくに子の名にはそういうものが増えています。たとえ
ば森鴎外による命名とは何がどう違うのか、じっくりと考えてみるきっか
けとして、この辞書を使ってくれればなと思います。

Q8.常用漢字改定作業を終えて、「常用漢字表」のあるべき姿等についての感
想をお聞きしたい。(I・S)
A8.「常用漢字表」では、「家(うち)」「お腹(なか)」「寿司」といった
生活上で当たり前になっているものを、今回は訓しかない、仮名表記やルビ付き
で良い、俗っぽい、他の表記もあるなどの理由が出されて、追加できませんでし
た。「混む」がやっと認められたように、現状と一般の意識をよく踏まえ、一般
の実感に近づけるようにきちんと追認していく必要があると思っています。今回
の字体も、分かりやすいものは「麺」「痩」「曽」がぎりぎり認められたくらい
で、歴史の審判に晒されるものとも思っています。

→じっくりと味わって読んでください。為になりますよ。続きはまた明日。

2011年5月8日日曜日

【六花46号H23/3】笹原宏之教授への質問と回答 No.1

昨年12月5日の講演会の折に、講師の笹原先生への質疑を機関紙「六花」に掲載したものを紹介します。全部で11問ありましたので3回に分けて紹介します。

Q1.国字について:昔は盛んに使われていたけれど現在は使われていない国字があったら教えて下さい。(K・K)
A1.国字は、一番の専門ですが、集めれば集めるほどたくさん存在していたことが分かります。数千種はありました。「俥」(くるま)「毟る」(もぐとも)などは辞書に載りましたが、次第に使われなくなってきました。「しつけ」には「身偏に花」という国字もかつてありましたが忘れられ、残った「躾」もエステとかニクタイビと読まれてしまうように、このままでは死んだ字になりそうです。

Q2.私たちはいわゆる国字なるものを、今日の各種参考書、辞書などから学び知るわけですが、どれもほとんどが明朝体風活字で示されております。国字の歴史は、どのくらいあり、本来どのような形で見ることが可能なのか、お示しいただければと思います。(S・Y)
A2.国字は1300年くらい前から現れており、筆で書かれるものでした。日本では金石文、文献、文書などが多く残されているため、それらに豊富に見ることができます。「辻」など、2点で記されることはむしろまれで、基本的に書写体(漢和辞典では俗字などと称される)で記されてきました。平安朝の「あはれ」(発音はアファレ)が意味変化によって「哀れ」と書かれるようになり、中世にはアッパレが派生し、「天晴」と当て字がなされ、そこから「遖」と国字が生み出されました。しんにょうの揺れについては、11を参照下さい。

Q3.四十物(あいもの)について、当て字の由来等をお聞かせください。(A・H)
A3.子供のころに、富山県(たぶん入善町)の市場の名で見かけ、母に読みを聞きました。姓にもなっていますね。「相物・間物」と書き、中世に干物、塩漁の類を指すことばだったようで、それらの魚の種類が豊富なために四十と書かれたのでしょう。ちなみに、魚市場を「いさば」とも言い、「五十場」と当て、仙台では「魚偏に集」という地域文字も造られていました。

Q4.朝鮮、ベトナム等、漢字文化がなくなっていった原因は?(K・A)
A4.大まかに言えば朝鮮は、ある時期から中国式の漢字と読み方が良しとされ、訓読みが定着せずに廃れ、両班(ヤンバン)以外の庶民には漢字が広まらず、また漢字は借り物という意識、さらに物事に一元性を求める志向と重なって、ハングル専用となったわけです。ベトナムは、民族語を表記するために生まれたチュノムがありましたが、漢字の知識を前提とし、しかも漢字よりもいっそう複雑化したため、やはり庶民に広まっていませんでした。こうした中で、民族主義や共産主義といった社会情勢が関わりながら、ハングルやローマ字が漢字に取って代わったのです。

→ どんな質問にも明解に答えてくださる笹原教授に皆ポカーンとして聞いていたように思いました。続きはまた明日。

2011年5月7日土曜日

【六花46号H23/3】笹原教授講演会報告

会員S・Yさんの投稿です。講演題は「漢字と日本語が紡ぎ出す当て字」です。


■今最も身近な当て字?
 道がこむ、バスがこむの「こむ」は皆さんは漢字でどう書きますか。日本人はたいてい「混む」、日本語を学ぶ外国人は「込む」。常用漢字では「混む」は表外読みで、日本語テキストでは常用漢字表に従った「込む」で教えている。「混む」は「混雑」からの類推で、今回の常用漢字の改訂で表内の読みとして加わった。
漢字の本場中国も当て字だらけ
 梵語のdana(布施・施主)が中国で「檀那」、それを日本では「旦那」と表記。danaはラテン語でdono、英語でdonorとなり、骨髄ドナーなどの日本語に。言葉は世界を巡る。
 「大器晩成」。老子の言葉。一般に「大きな器(才能)は簡単にはできあがらない」と、晩を「おそい」の意で解しているが、「晩」は「免」(=無)の当て字だった可能性が。「大器は成ることは無い」の方がいかにも老子らしい。
 「我」。本来は武器の象形文字。一人称の「ガ」と同音のため、仮借文字(当て字)として「われ」の意味で用いられるようになった。
 現代中国語でも「愛美的」はアマチュア、「愛耐而幾」はエネルギーなど、漢字の意味と無関係に外来語の表記に当てている例がある。
我が国当て字の歴史
 千三百年前の万葉集は、ほとんどが和語であり、漢字(万葉仮名=当て字)で表記されている。恋(こひ)を「孤悲」、桜(さくら)を「作楽」など意味と関連させているもの、「みみにたやすし」を「三三二田八酢四」など遊び心のあるものなど。古今集では杯を「酒月」と重層的なイメージの例も。
 中世では「大恋」で「ひたぶる」、「声花」で「はなやか」などの例が。「夜這ひ」は「呼ばひ」、「師走」は「仕果つ」、「仏滅」は「物滅」、「時計」は「土圭」から。
 当て字はどんどん作られる。「ひと」の当て字は「恋人」「他人」などなんと六十四もあるという。「他人事」を「たにんごと」と読んでしまうのもある面仕方がないのかも。「本田」(本田さんカッケー=かっこいい)「岡田」(岡田氏カッケー)については六花前号でも一部紹介ずみ。第一生命サラリーマン川柳の「離さない 十年たったら 話さない」などのしゃれと当て字の関係は深い。

当て読みもいろいろ
 「当て読み」という語を今回初めて知りました。言葉(=読み)に意外な漢字を当てたのが当て字ならば、漢字に多様な読みを当てたのが当て読みということなのでしょうか。
 「私」に対しては、「わたくし」 「わたし」はもちろん、あちき、あっし、あたい、あて、おいら、わし、などの当て読みがあるそうです。月極「つきぎめ」駐車場は「月決め」の当て字、「げっきょく」と読むのは当て読みだとか。当て字当て読みは生活で学ぶものが多い。雑誌広告記事で「短丈ジャケット」どう読むか。「ショートだけ」と読む人もいる。読みはよくわからなくても意味はわかる。鉄道運賃の「大人」「小人」。「だいにん」「しょうにん」と読むらしい。
 名前にまつわる当て字当て読みとして、田島を「たかはし」、斉藤を「なかじま」など紹介されましたが、頭がおかしくなりそうです。最近の赤ちゃんの命名で「輝星」で「きらら」、「苺苺苺」で「まりなる」、「黄熊」で「ぷう」などは親子関係が心配になります。
  * * *
 会員からの事前の質問にも丁寧に答えていただき、予定された講演時間はあっという間に過ぎました。まだまだ聴きたいという思いを抱きながら、忘年会の会場へと移動しました。笹原教授を囲み、楽しいお話をお聞きしたり、おいしい魚やお酒をいただ
いたりしながら、ゲームあり手品ありの大忘年会を参加者一同で楽しみました。

2011年5月6日金曜日

【六花45号(H22.12)】大好評!笹原教授 講演会

 昨年12月5日の学習会は、早稲田大学の笹原宏之教授に講演をお願いしました。その内容を機関紙「六花」に掲載のものをここで紹介させていただきます。

十二月五日に、早稲田大学の笹原宏之教授から新潟まで来ていただき、講演をしていただきました。演題は、「漢字と日本語が紡ぎだす当て字」でした。今回の講演会は、笹原先生が、はるばる東京から来てくださるので、同好会会員だけでは勿体無いと考え、外部に大きく門戸を開き、参加者を募集しました。
その結果、笹原先生の知名度や、内容がとても面白そうだと言うことで、会員・一般で計四十名と、発足以来最多の参加者となりました。
詳しいことは、次号にて報告となりますが、今回は取り急ぎ、講演会の写真と、出席者からの感想の一部を、掲載いたします。
以下、アンケート用紙より
  「やわらかい」話で、聞きやすかったです。
  日本人の感性は古い時代から豊かだったんですね。教えていただいてありがとうございました。
  さすが笹原先生、飲んで乱れず、話は泉のごとし。次から次と、面白い話、愉快な話のオンパレードでした。笹原 □!
  漢字には正しい間違いはなく、自分の感じたままでよいのではと、思えてきました。
  楽しいお話でした。当て字は作って良いとの事。自分流を考えてみたいです。
  『目からうろこが・・・』という内容がたくさんあって、おもしろかったです。
  漢字表記は生きている(生き物)と思った。興味深く聞かせていただきました。この後、書店へgoです。
  幼い頃から疑問に感じていたことがわかってよかった。
  とても興味深く楽しい講演でした。わかり易くユーモアたっぷりで充実した時を過ごさせていただきました。

※アンケートの文中の□!は、□ → 四角形 → 氏カッケー(かっこいい)!と読みます

くわしい講演内容はまた明日! 

2011年4月24日日曜日

総会・学習会が開催されました

総会で今後の活動方針などを協議しました。
学習会は「中国語で楽しむ漢詩」を会員のK女史から講演していただきました。
平仄と音韻の話を聞いて、難しいことだけはわかりました。
でも中国語で読む漢詩の響きは美しいです。美味!美味!

「南朝四百八十寺」で「はっしんじ」の「十」を「しん」と読むのはなぜか。
ちゃんと理由があるのですね。