今日(2月8日)の新潟日報のコラム「日報抄」の冒頭が気になりました。
「「盥(たらい)」の字は、「皿」と「両手」と「水」から成る。水で手を洗うこと、またはその器を表すと辞書にある。昔は洗濯に欠かせない道具だった。見かけなくなったと思っていたら、昨今は「盥回し」などと、うれしくない用法で登場することが増えた
▼本来は、あおむけになり足で盥を回す曲芸を指す言葉。だが、現代では別の意味、「一つの物事を、責任をもって処理せずに次々と送りまわすこと」(広辞苑)として使われることが多い▼米国が日本に打診したこの件も、盥回しの一つなのだろう。沖縄県の海兵隊員のうち1500人ほどを山口県の岩国基地に移し、常駐させるというのだ。」以下略
⇒「盥」の字源から用法の時代的変化に触れて本文に繋げていく手法はうまいと思う。この文章術は頭の片隅に置いておくとしよう。
「盥」の読みは、「カン、たらい」。熟語は、
[盥耳]カンジ 汚れた耳を洗い清める。
[盥櫛]カンシツ 手を洗い、髪をくしけずる。また、身仕舞いをする。
[盥漱]カンソウ 手を洗い、口をすすぐ。
[盥濯]カンタク 手を洗い、足をすすぐ。
[盥沐]カンモク ①手や髪を洗い清める。②湯あみ。
ことわざには、
[盥半切りを笑う](たらいはんぎりをわらう) 取るに足りない者が、自分とたいして違わない者をあざ笑う。
※「半切り」は底の浅い桶(おけ)。盥が自分に似た小型の桶を馬鹿にして笑う意から。
[我が家、楽の釜盥](わがいえ、らくのかまだらい) 貧乏暮らしをしていても、我が家というのは楽しくていいものだというたとえ。
※盥を買えないので釜で代用しているような貧しい暮らしをしていても、我が家ほど楽しい所はない意から。「我が家、楽の金盥」ともいう。
⇒今日は「盥」にこだわってみました。
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