2011年11月1日火曜日

「手を振る人たち」

今日は仕事で小千谷に行ったが、新潟から長岡までの新幹線の車中で、持ち帰り可能な冊子「トランヴェール」を読んでいて、巻頭エッセイに思わずうなってしまった。
映画「八日目の蝉」の原作者である作家の角田光代さんが書いたものだった。
以下に一部引用させてもらう。

「今年、カシオペアに乗った。上野から札幌にいく寝台列車だ。コンパクトながら豪華な部屋も、レストランも、窓を向いた座席がゆったり並ぶラウンジも、何もかもがものめずらしく、発車してすぐはうろうろと車両をわたり歩いた。ようやく落ち着いて部屋に戻り、窓の外を眺め、日常との近さに驚く。すぐ隣を満員電車が走っている。それから住宅街のなかも走る。あたりまえのことなのだけれど寝台列車が非日常だから、びっくりしてしまうのだ。
この列車は、深夜、青函トンネルをくぐる。ぐっすりと眠り、目覚めて窓のカーテンを開けて、それまで見ていた光景との違いにびっくりした。広々とした空の下、雪に覆われた大地が果てしなく続く。苫小牧のあたりになると、列車はまた、日常の隣を走る。窓の外を見ていたら、中学生だろう、制服姿の女の子が二人歩いていた。目が合う。彼女たちは笑い、手を振った。あまりにも自然だったので、きっと子どものころから見慣れた光景なんだろうなあと思った。幾度も幾度も、彼女たちは寝台列車の旅人に手を振られ、手を振ってきたのに違いない。日常と非日常の、一瞬の交差である。」


⇒作家というのは、やっぱり文章がうまいですね。特に「日常と非日常の、一瞬の交差である」なんて表現は、感性の違いを感じます。
これを読んでどんな印象を持たれるでしょうか。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

order tramadol buy tramadol dogs - tramadol kidney disease

匿名 さんのコメント...

buy phentermine buy phentermine online without script - buy phentermine online no rx