2011年8月23日火曜日

【漢詩漢文名言】清輝に玉臂寒からん

杜甫の「月夜(げつや)」から。

・香霧に 【雲鬟】湿い 清輝に 【玉臂】寒からん

読みは、
・こうむに 【うんかん】うるおい せいきに 【ぎょくひ】さむからん

<解釈>
 かぐわしい夜霧のために、妻の豊かな黒髪はしっとりとぬれ、清らかな月の光を浴びて、その玉のように白くつややかな腕は冷たく光っているだろう。

⇒虜囚の身となった杜甫が、月光の下にたたずみ、夫をしのぶ妻の姿を想像して歌ったものという。
杜甫はなかなかの家族思いだったんですね。30歳頃に結婚して、この句は杜甫45歳の作という。

この句の熟語は、
【雲鬟】(ウンカン ) 女性の豊かで美しいまげ。
「鬟」の読みは「カン、わげ、みずら」。他の熟語は、
【翠鬟】(スイカン ) 輪型に巻いた、美人のつやつやしいまげ。
【娃鬟】(アイカン ) 美人。

【玉臂】(ギョクヒ ) 女の美しい腕。
「臂」の読みは「ヒ、ひじ」。他の熟語は、
【臂使】(ヒシ) 〈故事〉腕が手の指を使うように、思いのままに人を使うこと。『臂指(ヒシ)』
【掉臂】(チョウヒ) 無視して相手にしないで立ち去ること。
【攘臂】(ジョウヒ) 腕まくりをする。また、尽力する。
【猿臂】(エンピ ) さるのように、身体に比較して長いひじのこと。

漢詩の世界は想像力を掻き立てるものがありますね。
今日はここまでです。
(参考辞典) 漢詩漢文名言辞典、漢字源

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