2011年10月19日水曜日

【漢詩漢文名言】月は羅韈を浸して清夜は徂く

めっきり寒くなり炬燵を出した。夜の愛犬散歩では星がいっぱい見えた。
こんな日は漢文の名言が似合う。

「月は羅韈を浸して清夜は徂く
満身の花影 酔うて扶くるを索む」

(読み)
「つきはらべつをひたしてせいやはゆく
まんしんのかえい ようてたすくるをもとむ」
(訳)
「月の光はあなたのうすぎぬの靴下をぬらして、清らかな夜はふけてゆく。
全身に海棠の花影を映して、酔ったあなたは「支えて」と私に寄り添う。」

出典は南宋の陸游の「成都行(せいとこう)」詩。
前任地成都での日々は、狂おしいまでに放縦なものだったらしい。
「名妓を呼びにやれば、夕方だというのに彼女はもうひどく酔っている。紅・おしろいは落ち、髪も乱れているというから、その酔いは一通りではない。彼女は豊かな教養をもっていて、その草書も墨絵も、香り高い出来映えである。
彼女のうすぎぬの靴下は月光にひたされる。彼女は庭先に降り立ったのだ。そこは一面の海棠の花。その花影の下を風のそよぎのように歩きまわり、その花影を全身にあびながら、彼女は弱々しく私の方に手をさしのべる。あまりに酔って、支えなしでは立っていられないのだ。」

[羅韈]ラベツ うすぎぬでつくった足袋(たび)・靴下。
「羅」の読みは「ラ、あみ」。「うすもの、うすぎぬ」の意味もある。
「韈」の読みは「ベツ、バツ、たび」。

「徂」の読みは「ソ、ゆ-く」。熟語は、
[徂歳]ソサイ [徂年(ソネン)]過ぎ去った年。
[徂逝]ソセイ [徂謝(ソシャ)]去っていく。死亡すること。
[徂徠]ソライ ①〈徂来〉行き来する。往来。②[日本]江戸時代の儒学者、荻生徂徠(おぎゅうソライ)のこと。

⇒今日はここまで。
(参考)漢詩漢文名言事典より。

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