2011年10月22日土曜日

阮籍青眼(げんせきせいがん)

前回の名言の作者「阮籍」は、いわゆる竹林の七賢の代表ともいうべき人物。
この人の名前が付いた1級四字熟語で「阮籍青眼(げんせきせいがん)」がある。

意味は、「阮籍の青い眼。心から人を歓迎すること。」
原文書き下し文(晋書・阮籍伝)は、
「籍は又能く青白眼を為し、礼俗の士を見るに、白眼を以てこれに対す。」
(訳)
「阮籍は、(世俗に迎合するような礼儀が大嫌いな人物であり、)黒い目つき(=相手をまともに見る目つき)と白い目つき(=相手を軽視した上目づかいの目つき)とを使い分けた。世俗的な礼節を尊ぶ人物には軽蔑して上目づかいで白目がちに応対するのだった。」(三省堂中国故事成語辞典)

この故事から「白眼視」「白い目で見る」の語が出来たようです。
参考までに、阮籍という人物と竹林の七賢、清談について調べてみる。

げん‐せき【阮籍】
「魏・晋の隠士。竹林の七賢の首班。字は嗣宗。阮咸(げんかん)の叔父。河南陳留の人。
老荘の学と酒を好み、俗人を白眼視し、「詠懐詩」85首を残した。(210~263)」(広辞苑)

[竹林七賢]チクリンのシチケン
晋(シン)代、世俗を避けて竹林で音楽と酒とを楽しみ、清談にふけった七人の隠者。阮籍(ゲンセキ)・嵆康(ケイコウ)・山濤(サントウ)・向秀(ショウシュウ)・劉伶(リュウレイ)・王戎(オウジュウ)・阮咸(ゲンカン)のこと。(漢字源)

[清談]セイダン
①世間のことを離れた風流な話。「良宵宜清談 皓月未能寝=良宵(リャウセウ)清談に宜(よろ)しく 皓月 未(いま)だ寝(い)ぬる能(あた)はず」〔李白・友人会宿〕
②魏(ギ)・晋(シン)の頃の人々が行った老荘思想に基づく哲学的な談論。▽「竹林の七賢」たちの清談が、有名。(漢字源)

⇒「白眼視」や「白い目で見る」など、現在も使われている言葉のルーツがこんなところにあったとは新しい発見でした。
今回は前回の記事のコメントをきっかけに調べてみたものです。おかげで勉強になりました。

2 件のコメント:

SOS さんのコメント...

今晩は、「阮籍」について早々と詳細な
記事を書いて頂き参考になりました。

私も阮籍の「詠懐」より、
「寧ろ燕雀と翔(か)けるも、黄鵠に随って
 飛ばず」
(小さなつまらない燕雀と飛ぶほうが、
 立派な黄鵠(白鳥)の後について飛ぶよりは
 ましである)
「寧ろ鶏口と為るとも牛後と為る勿(なか)れ」
         (史記・蘇秦伝)
それではまた

Dogu さんのコメント...

コメントありがとうございます。
また参考にさせていただきます。