2011年12月10日土曜日

新明解国語辞典改訂 2

「右」の語釈を取り上げてみる。辞書によって説明が違うと、聞いた(読んだ?)ことがある。
意外と説明が難しいものらしい。

新明解は、なかなか面白い。
「アナログ時計の文字盤に向かった時に、一時から五時までの表示のある側。(「明」という漢字の「月」が書かれている側と一致)」
なるほど、という説明だが、床屋さんには鏡に映ることを想定した数字が反対に並んでいる時計もあるけどね。
ヤフー知恵袋には、こんな感想がある。
「なぜアナログ式時計?なぜ選んだ漢字が「明」?
ところで三時の表示のある側ではなく一時から五時のある側なんですね。深い...」

この人の疑問から考えた私の語釈は、「十二時を過ぎてから六時になる前までの側」というややこしいものです。
十二時一分だって右側ですよね、一応・・・。

他の辞書の説明をみよう。広辞苑では、
「南を向いた時、西にあたる方。」
と、あっさりしている。

日本国語大辞典では、
「正面を南に向けたときの西側にあたる側。人体を座標軸にしていう。人体で通常、心臓のある方と反対の側。」
心臓と反対側、というところが個性的な説明だ。

明鏡国語辞典では、
「人体を対象線に沿って二分したとき、心臓のない方。」
と上記と同じ説明になっている。
しかし、心臓が右にある人がいることも事実であり、日本国語大辞典のように「通常」という条件が説明に必要だ。

大辞泉では、
「東に向いたとき南にあたる方。大部分の人が、食事のとき箸(はし)を持つ側。」
と、食事のときの箸を持ち出して説明しているところが個性的だ。
左利きの人もいるから、「大部分の人」と言っていると推測できる。

大辞林では、
「空間を二分したときの一方の側。その人が北に向いていれば、東にあたる側。」
と、方位を使っての説明は多くの辞典と同じ。
しかし、方位の説明も北極点と南極点には通用しないから、正確には「その地点を除いて」の条件が必要のはずだ。

昔見た何の辞典だったか忘れたが、
「この辞典を開いて偶数ページの側。」とかいうような面白い説明があった。
これもなかなか工夫した説明です。
しかし、本を真正面に向かって開けばそうだが、学校の先生のように生徒に見えるように反対に持って開く人には当てはまらないよね。

ことほど左様に、「右」の説明は難しい。というより、言葉の説明は難しい。「左」の説明は、反対の説明でよい。「アナログ時計の七時から十一時までの側」とか、「心臓のある側」とか、「茶碗を持つ側」とか、「東に向いたとき北にあたる方」とかでよい。
新明解の独自性ある語釈の一例かと思い、取り上げてみた。

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