2011年7月16日土曜日

「簡単な漢字まで仮名書きされる」ことについて 2

「漢字と仮名の使い分け」について、今日は元朝日新聞論説委員でジャーナリストの轡田 隆史氏の「うまい!と言われる文章の技術」(三笠書房)から参考となる部分を引用する。

・〈これだけは気をつけたい漢字と仮名の使い分け、2つの原則〉
 次は、これも間違いというわけではないのだが、大勢の人がよくやる書き方で要注意である。「女房達」、「自分達」、「3月15日迄」、「人達」、などというのがそれ。~「午前3時頃目が覚めた」式の書き方をする人も多い。
 「達」、「迄」、「頃」はやめて、「女房たち」、「自分たち」、「人たち」、「3月15日まで」、「午前3時ごろ」としよう。「達」で複数形を作ったわけだが、女房、自分、人、という文字に比べて「達」という文字は重すぎる。女房、自分、人が埋没してしまう。「十二単の女房たちがそれぞれの思いで」のように、「女房」という文字が文字の流れの中に浮かび上がっていなければならない。複数形であることは軽く感じとってもらえさえすればいいわけだから、平仮名でさらりと「たち」と書いておけばいい。「迄」も「頃」も同じ理由で「まで」、「ごろ」と書く。
 ちょっと極端な言い方をするなら、「友達」に「達」をつけたら「友達達」となってしまう。これはどうしたって「友達たち」だ。

 漢字と平仮名の使い分けは、実はなかなか難しい問題である。文章の流れや、視覚的な効果にもかかわってくるからだ。使い分けの規則などはもちろんない。そのせいか、知っている限りの漢字を総動員して、いましがた指摘したように、女房達、15日迄、3時頃と書いてしまったり、逆に、漢字のある言葉なのにやたらに平仮名で書いてしまったりする例が目立つ。
 そこで、原則を2つ挙げておこう。
原則① 漢字を用いるか、平仮名にするか、しっかりと判断する。無意識のまま、何となく漢字にしたり平仮名にしたり、では困る。
原則② 名詞、動詞、形容詞の語幹は、なるべく漢字を使う。
 漢字の多すぎるのも困るが、仮名ばかりというのも、かえって読みにくくなり、ときにはとんでもない間違いを引き起こす。~注意を喚起すべき部分は、漢字があるなら漢字で書くべきだ。特に注意を引こうというのではない部分、ことさら強調しなくていい部分は、漢字があっても仮名の方がいい。「女房たち」で重要なのは「女房」という言葉なのだから、「女房たち」と書く。「にょうぼう達」と書いてみれば、そのおかしさがすぐわかるだろう。(※引用ここまで。太字・下線を独自判断で付した。)


⇒文章の達人が言う言葉には、まずは謙虚に耳を傾けたい。(ただし、いかなる場合でも自らの考えでよく咀嚼することが必要だろう。)
漢字と平仮名の使い分けの規則がない中で、やはり上記引用のような一定の考え方を各自が判断しながら使用していく以外にはないのだろう、と私は考えている。
漢字も文章のなかで使われる以上は、読み手を意識すべきは当然のことであり、漢字のある言葉については、たとえ易しい漢字であろうと使わない場合もあることはこれも当然ではないかと考えている。
このテーマはまだ少し続けたいと思う。

2 件のコメント:

Peko さんのコメント...

 久しぶりに投稿します。手の手術(バネ指)や夏風邪と少しご無沙汰しているうちに、ブログもSOSさんやMC554さん、匿名さんと賑やかになってきていて、嬉しいです。 v(^^)v
そして、今回の「ひらがな表記」についての、意見も大変参考になりました。
 私自身は雰囲気で使い分けをしているように思います。「子ども達」を普通に使っていますし、「子どもたち」や「子供達」より私の中では自然のような気がします。多くの人の意見が聞けて良かったです。これからも、よろしくお願いします。

Dogu さんのコメント...

手の手術、夏風邪と大変でしたね。
今回の「漢字の平仮名表記」はなかなか深い問題で、関心もあるので、いろんな意見を紹介して考えてみたいと思います。