2011年9月3日土曜日

【漢詩漢文名言】吾れ天地を以て棺槨と為す

荘子、将に死せんとす.。弟子、厚くこれを葬らんと欲す。荘子曰わく、
「吾れ天地を以て【棺槨】と為し、日月を以て【連璧】と為し、星辰を【珠璣】と為し、万物を【齎送】と為す。」

われ、てんちをもって【かんかく】となし、じつげつをもって【れんぺき】となし、せいしんを【しゅき】となし、ばんぶつを【しそう】となす。

<解釈>
 私は天と地とを棺桶(かんおけ)とし、太陽と月とを一対の大きな玉とし、夜空の星々を小さな珠玉とし、万物を送葬の贈り物と思っている。(だから、私の葬具はもうすべて備わっているのだ。)
<出典>
 『荘子(そうじ)』列禦寇(れつぎょこう)第三十二。

<解説>
 荘子(そうし)の臨終のとき、弟子たちが手厚く葬りたいと思っていると、荘子がそれを察知し、自分の葬式は何一つ加えてはならぬとして告げた言葉である。


⇒棺槨はH22-2の過去問に「椁」で出題されている。槨は異体字。
【連璧】(レンペキ) 〈故事〉一対の美しい玉。▽一対の美しいものや、すぐれた二人の友人にたとえることもある。「双璧(ソウヘキ)」とも。
【珠璣】(シュキ) まるい宝玉と、かくばった宝玉。宝玉のこと。※「璣」は第3水準漢字で、漢検漢字辞典にもなし。
【齎送】①(セイソウ )持っていく。とどけ送る。②(シソウ )葬式のとき死者の遺体と共に墓に埋める物品。
「齎」の読みは、「セイ、シ、サイ、もたら‐す」。

日本では、「人間到る処青山あり」を連想させる文章です。※(参考辞典)漢詩漢文名言辞典、漢字源

2 件のコメント:

SOS さんのコメント...

こんにちは!
棺椁(かんかく)の椁について、
槨は椁の異体字とありますが、
確かに一部の辞書には異体字としてありますが、
広漢和辞典では別字であり、又漢検の「漢字必携」にも
別字で出ています(但し意味はそとひつぎで同じ)
解字は形声、木+郭(かこう)で木で囲ったものの意。
棺槨とは、棺(うちひつぎ)と槨(そとひつぎ)で二重の棺の意。
従って、どちらも正解では無いでしょうか?

Dogu さんのコメント...

書き込みありがとうございました。
勉強になります。
言われるとおりどちらでもOKと思います。