2011年9月17日土曜日

【中国故事成語】藹藹

連日飲んでばかりいる。今日も町内の頼母子で、ほろ酔いで機嫌よいのだが少し勉強しよう。そのため少し饒舌気味です。
依然買った辞典に三省堂の中国故事成語辞典がある。(最近読みやすい型の改定が出ているようで書店で見かけた。)
これはなかなかスゴイ辞典だなと思っている。何がスゴイかといえば、成語林が分量が多く簡潔な説明であるのに対し、これは原文の書き下し文が一段落文くらい載せて解説してあるところである。

辞典の冒頭は「藹藹」である。詩経が出典です。詩経は以前パラパラと読んだことがありますが、読み方が悪いせいか、どうもあまり響いてきませんでした。「藹藹」の意味そのものは、「和気藹々」で有名で、広辞苑では、
①草木の茂るさま。②多くて盛んなさま。③心のやわらいださま。「和気―」、となっている。
では詩経の原文に当たろう。ただし、書き下しです。

「鳳凰于(ここ)に飛ぶ。翽翽(かいかい)たりその羽。亦た集まりて爰(ここ)に止まる。藹藹(あいあい)として王吉士(きっし)多し。」

(訳文)鳳凰が飛ぶと、さまざまな種類の鳥がこれに従って飛び、その羽音がおびただしく聞こえる。鳳凰が枝に止まると、多くの鳥もまた樹に止まる。同じように、立派な天子の下には必ず多くのすぐれた士が慕い集まる。周の成王の下、その朝廷には優れた人士が多く集まってまさに盛んである。

⇒鳳凰は想像上の瑞鳥だから現実の話ではないが、大袈裟な比喩は中国の得意な所であります。ここに書いてあることを一言にまとめれば、(カリスマ的な)リーダーシップ論ではなかろうか、と思います。ここでの「藹藹」は「多くて盛んなさま」の意味でしょう。
漢字の学習とあわせて、その背景まで楽しめれば最高ではないでしょうか。
今日はこれ以上は無理なので終わり。読んでくれてありがとう!

2 件のコメント:

SOS さんのコメント...

今晩は、またお邪魔します!

「詩経・大雅篇、卷阿」に出てくる鳳凰は、
原文では「鳳皇」となっています。
徳の高い天子が世に出た時に現れると言われる瑞鳥で、
雄を鳳、雌を皇と言うとあります。

また、藹藹とは多くの優れた人のさまで、
吉士は神に仕えるもの、
色んな解釈が有ると思いますが、
「周王、群臣と卷阿に出游し、詩人詩を陳ねて王を頌する歌」と有ります。
7.鳳皇ここに飛ぶ、羽音して飛び交ひつ、
群なして止まれり、やわらげる神人ら、
うま人に召され来て、帝にも愛(めぐ)まれつ
   (詩経雅頌2 白川静 訳注 平凡社東洋文庫)
一応ご参考までに! それではまた!

Dogu さんのコメント...

書き込みありがとうございます。なるほど~、と大変参考になります。
白川静博士は、詩経と万葉集の比較研究から始めて、「東洋」の復権を目指しながら、最後は辞書3部作に代表される白川漢字学の体系を作られました。
京都の文字講話では、甲骨文字を自在に書いて解説する先生を間近に見られて幸せな思い出になりました。
いずれ白川文字学も取りあげたいと思っています。