2011年6月6日月曜日

【六花33号H19/9】中国と熟語シリーズⅢ

 今日は定期的に紹介している機関紙「六花」の人気連載です。
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「 管 中 窺 豹 」 K・K
 
 テレサ・テンの歌で「梅花」というのがある。CDの説明書によると第二の国歌として中国人に広く愛されているという。これは中国人の大勢いるパーティで歌うには良いかもしれないと思っていたが、ハルピンと北京出身の留学生に聞いたら二人ともそんな歌は知らないと答えた。中国人と付き合っていると時々そういうことがある。
 中国は広い。だから地方によって言葉はもちろん、考え方や習慣も違うというのは理解できる。けれどもいくらなんでも山や川に違いはないだろうと思っていたが、そうでもないようだ。 
 川には大きな「江」と小さな「河」の二種類がある。私は漠然と江と河の違いは幅かなと思っていたが、ある中国人は深さだと言った。タンカーが通れるだけの深さがあるのが江で、漁船が通るのは河なのだそうだ。ところが幅だと言った人もいた。また水源が中国にあるのが河で外国から流れて来たのが江だと説明した人もいる。最近知ったのだが、揚子江以南は大きさに関係なく全部江なのだ。
最近中国で仕事をしたり、中国が好きで何度も旅行をする人が多くなった。そういう人と話をして気付くのだが、中国の話題になると皆得意げに「中国はああだ」「中国人はこうだ」ときっぱり言いたがる。そのたび私は「管中窺豹」を思う。竹の管から豹をのぞいても一つの斑紋しか見えず、豹全体を見ることはない。見識のないたとえだが、本人はなかなか気付かない。
中国関係の研究者やビジネスマンで長年中国人と関わり、本当に中国の好きな人ほど中国に対して厳しい目を向けている。そして何かを訊ねても知らないと答える事がある。自分が管から見ている事を充分知っているからだ。私の管に比べてはるかに太い管なのだが…。
だから私は中国に関して何でも言い切る人の話は信用しない。
私のこのシリーズもあまり信用しない方がいい。

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