2011年6月16日木曜日

【六花34号H19/12】中国と熟語シリーズⅣ

そろそろ過去問の勉強もしなければと思うのだが、今日も酔ってとても無理なので、六花の人気連載の続きを紹介することとする。

「 文 明 中 国 」K・K

 直行便が飛んでいるおかげで新潟に上海へ行った事のある人は多い。現代建築ばかりでつまらないとあまり評判はよくないが、私は上海の街を歩くのが好きだ。活気ある人込みの中を歩いていると、ふと昔の長安や大都の賑わいを思う。人々は自信に満ち、その時代の建築物が軒を連ねている。そして大勢の外国人や留学生が行き交い、道は昔なら馬、今は車で騒がしい。
 ただ、昔には決して見られなかったものがある。至るところに貼られた『文明中国』の標語だ。最近よく目にするようになったが、中国人の考える文明とは一体何なのかよくわからない。
レストランなどでは『文明礼貌』を見かける。礼貌とはマナーのことだ。
 建築工事現場には『文明施工』が貼られているが、覗いた専門家達は一様に恐ろしいと言う。いつ何が起きても不思議ではない施工なのだそうだ。
 高速道路には『文明開車』が掲げられている。開車とは運転のことだが、絶対に譲りあわない中国人どうしのバトルは凄まじい。中国では国際自動車運転免許を認めていないので外国人とトラブルを起こす事は滅多にない。身内で思う存分闘い、時には事故を起こし、結局長い渋滞の列を作ってしまう。
 昔から中国は文明国であった。少なくとも中国人はそう思っていた。だからわざわざ文明を強調する必要などなかったのだ。そして気がついたらいつの間にか後進国になっていた。発奮した国民が一丸となって努力した結果、物質文明だけは飛躍的に向上したもののそれだけでは中国の威信を世界中に示す事ができないと気付いたのだろう。『文明中国』の標語はオリンピックを前にしてマナーだけでもなんとかしなければという焦りなのかもしれない。
 ところで去年上海へ行った時、私は男性用トイレの入口で不思議な貼り紙を見つけた。『一歩の前進は文明のバロメーター』とある。はて、何のことだろう首を傾げていたら、中から出てきた男性がにこにこして教えてくれた。
 「その意味はね、男性にしかわからないですよ。」

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