2011年5月10日火曜日

【六花46号H23/3】笹原宏之教授への質問と回答 No.3

昨日の続きです。これで一区切りとなります。

Q9.笹原先生が、ご自身の考えの中で、常用漢字表に入れたかった漢字は有りますか。また逆に、削除してもいいのでは、と思った漢字は有りますか。(O・M)
A9.上記のほか、「嬉しい」「凄(すご)い」は訓読みの形容詞とはいえ、実勢を考慮し、採用しても良かったと思います。「鬱」は微妙で、「躁鬱病」は世上に多い「躁うつ病」ではなく、「そう鬱病」と書かれることになりますので、医学界での対応が気に掛かります。

Q10.「巳(み)は上に、已(すでに)なかばに、己(おのれ)下」と、昔母が習った巳・已・己の覚え方を聞いた事がありますが、そのように似ている漢字の覚え方が有ったら、教えてください。(O・M)
A10.大正時代に刊行された「大字典」は、「瓜に爪有り、爪に爪なし」など、本文にこういうものを書いてくれている画期的な辞書でした。鑑だけでなく、鏡としての役割も考えてくれた良い辞書です。中世の「和玉篇」や江戸時代の「節用集」なども実はそういう面を持っていたものでした。

Q11.「1点しんにゅう」と「2点しんにゅう」の成り立ち(違い)・語源について教えてください。(I・T)
A11.しんにゅう(しんにょう 之繞)は元は7画の字(音はチャク)で、構成要素としての使用頻度が高いために「足」「走」よりも草書化が進み、いってしまえば略字として定着しました。その際に、2点か1点か(あるいは点を省くか)、縦線を曲げるか曲げないか、手書きや印刷の場で揺れが生じました。今日では、そのしんにょうの点の数だけに意識が集中しますが、もっと漢字というものには、着目したら楽しく考えられる「点」がたくさんあると思っています。

【笹原先生からのコメント】先日は、当て字に関するあれこれを、熱心にまた朗らかにお聞き下さって、ありがとうございました。お陰様で、いつもより楽しく、そしてたくさんのお話ができました。東京生まれ、東京育ちの私にとって、新潟は何度も伺ううちに、第二の故郷のように感じられます。私の日本海のDNAが、越後・佐渡の土地、食べ物、そして皆さまに、何か懐かささえ感じるようです。また、ぜひお呼び下さいね!

⇒う、う、う、ありがたいお言葉・・・涙がチョチョ切れます。。。先生今後ともよろしく、おねがひいたひまふ・・・ビー!(鼻をかむ音)

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